
北朝鮮とロシアが「共同外交戦線」を構築し、米国を牽制する姿勢を一段と強化している。プーチン政権の最側近、ショイグ国家安全保障会議書記が再び平壌を訪問したことで、両国の協力関係が一層密接になっていることが裏付けられた。
北朝鮮は23日、労働新聞で「地域および国際情勢に関する両国指導部の見解が広範に交換され、完全に一致した立場を確認した」と報道し、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記とプーチン大統領が現下の国際情勢への対応方針を共有していることを明らかにした。
これは、トランプ米大統領とプーチン大統領がウクライナ戦争の停戦・終戦協議、さらには「核軍縮交渉」についても歩調を合わせる動きの中で、北朝鮮が独自の対米外交を控え、ロシアの動向に同調する戦略を取ると分析されている。ロシアは当面、対米外交の主導権を握り、北朝鮮を確実な同盟国として管理していく見込みだ。
ショイグ書記は、2023年に国防相として初めてキム総書記と会談して以降、今回の訪朝まで計3回も直接対話を重ねており、実質的にプーチン大統領の特使として北朝鮮外交におけるキーマンとなっている。
昨年7月の訪問直後には北朝鮮とロシアの首脳会談が実現し、9月の2度目の訪朝後には北朝鮮軍がロシアに派遣されるなど、北朝鮮の軍事支援が加速した。今回は、ロシアが米国を相手に大規模な外交交渉を展開している最中の訪問であり、北朝鮮を確実に味方につける狙いがあるとみられる。
慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「今回の会談は単なる儀礼的な交流ではなく、北朝鮮とロシアが軍事協力を強化し、反西側連合を拡大する新たな契機になる」と評価した。
米露ウクライナ3カ国は24日、サウジアラビアのリヤドで「全面的な停戦合意」に向けた協議を開いている。ロシアはその交渉内容を北朝鮮にも共有し、戦争継続への支援を要請している可能性が高い。
ロシアとしては停戦交渉が成立するまでの間、前線で最大限の領土を確保するため、北朝鮮の軍事力や物資支援に期待している。これは北朝鮮側から見れば、ロシアからの見返りを最大化する交渉材料となる。
一部では、ウクライナ戦争の終結とともに北朝鮮とロシアの関係にも変化が生じるとの見方もあるが、現時点では北朝鮮の支援がロシアにとって不可欠な状況が続くとの分析が主流だ。
統一研究院のホン・ミン先任研究委員は「今回の会談は、両国がウクライナ戦争における揺るぎない協力意志を再確認し、戦争終結後も北朝鮮とロシアの協力関係が弱まらないよう予防線を張ったものだ」と述べた。
また、今回の会談を契機に、北朝鮮はロシアと連携し、米国主導の「グローバル核軍縮」政策への共同対応を準備するとの見方もある。これまで両国は「多極化世界」の外交戦略を掲げており、今後の新たな核交渉においてもパートナーシップを強化する可能性が高い。
これまで北朝鮮は米朝間の2国間対話を好んできたが、2019年の米国による一方的な協議決裂を機に方針を変更したとみられる。今後は多国間核交渉を通じて、相互抑止力を強化し、体制維持に万全を期す戦略を採ると予想される。
さらに、北朝鮮は2021年の党大会で打ち出した国家発展5カ年計画の締めくくりを今年迎える。年末または来年初めには新たな5カ年計画が策定される予定で、10月10日には党創建80周年という国家的イベントも控えている。このため、北朝鮮は当面、ロシア主導の対米外交に歩調を合わせながら国内政策に集中し、来たる第9回党大会で新たな外交戦略を打ち出し、米国との接点を模索する動きを見せるとみられる。
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