「ライフスタイルビジネス」は最近の韓国で、最も強力なビジネスモデルとなっている。
接したことのない人々に新しい生き方を提案し、魅力を感じさせ経験させて引き込む。こうすれば、顧客ロイヤリティを多く、長く維持することができ、事業の「持続可能性」も担保できるわけだ。
チェ・テウォンの本「ライフスタイルビジネスがやってくる」によると、▽イケア▽無印良品▽ラッシュ(LUSH)▽ホールフードマーケット(WholeFoodsMarket)――などが「ライフスタイル」をビジネス化して、勢いに乗っている。
シンプルさとミニマリズムの中で北欧の暖かみを追求する人たちはイケアを、合理性と本質を追求する人たちは無印良品を、環境にやさしく価値消費を重視する人たちはラッシュとホールフードマーケットを、それぞれ訪れる。
消費者の暮らしと最も密接な産業である流通業の多くの企業がライフスタイルビジネスを狙っている。
マーケットカーリー(MARKETKURLY)は「健康を売る健全な企業」を目指す。新世界インターナショナルの自主(JAJU)は「ライフスタイルブランド」を標榜し、エコ、価値消費などを掲げる。グッチ、エルメス、ディオールがカフェやレストランを運営するのもライフスタイルビジネスとみなされる。
これらのブランドは、飲食店の経営によって、単に「誰もが買えるわけではないブランド」というイメージを超えて、「職人が丹精込めて作った、人生を豊かにしてくれるブランド」というメッセージを伝えようとしてる。SNSを通じて、これらのカフェやレストランを訪れた人たちが人生の価値を見いだし、おのずと、ブランドの広告効果も出てくる。
消費者は商品消費行動を通じて自分を表現する。また、訪ねる場所でアイデンティティを表すことを望む。どこで余暇を楽しむかによって、自身の人生の方向性を表現するわけだ。
弘大(ホンデ)や建大(コンデ)を訪れる人たちは、20代前半の若い感性を、韓国の「ブルックリン」聖水洞(ソンスドン)や乙支路(ウルチロ)を訪れる人たちはヒップスターとしてローカル、希少性、話題性などの要素に気を使う。
こうしたトレンドから、流通業者は自らが位置する付近の商圏を、いかに再興させるかに懸命だ。取り組むべき課題は、その地域に、ヒップで若い感覚のイメージを与え、消費者が求めるような「充実した人生を営みたい地域」にすること。
その代表例が、ロッテワールドタワーモールがある蚕室(チャムシル)だ。
ここ数年で、蚕室の石村(ソクチョン)湖の周辺は若々しく感覚的なところに生まれ変わった。
ロッテワールドタワーモールが集客し、桜祭り前後に石村湖が高い関心を集め、松理団通り(ソンリダンキル)の商圏も形成された。
ロッテワールドタワーモールを運営所有するロッテ物産は、このようなイメージをさらに強化するため、毎月2回、ライフスタイルマガジン「GEEP(深さ)」を発行する。ライフスタイルマガジンや趣味の雑誌は、最も効果的にライフスタイルを提示する方法だ。先行して、「キンフォーク(KINFOLK)」「マガジンB(Magazine B)」「モノクル(Monocle)」などが効果的にライフスタイルを提案している。
「GEEP」は松坡区(ソンパグ)のアーティスト(文化)、コレクター(ファッション)、グルメ(行列のできる店)、エクスプローラー(地域社会)などを紹介している。
石村湖とソウルスカイ(ロッテワールドタワー展望台)で楽しむ「ムルモン(ぼんやりと水を)」「ハヌルモン(ぼんやりと空を)」や、ロッテワールドモール内に入店したオーストラリアのブランチレストラン「ビルズ(Bills)」のおすすめメニュー、石村駅近くの、無駄や浪費をなくすゼロウエイストショップ「ジミープロジェクト(JimmyProject)」、松坡ナル駅近くのワイングルメレストラン「テーブルハナ(TABLEHANA)」……など地域の商圏を紹介している。
ある複合ショッピングモール関係者はこんな認識を示している。
「価格の安さや場所の便利さなどの単純な要素で消費者を引きつける時代は過ぎた。消費者が求める価値を提供することが最新のトレンドであり流通業界成功の重要な要素だ」
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