K-カジノが規制にしばられている間、周辺のアジアのライバル国・地域は疾走している。「カジノ清浄国」だった日本とタイが、自国民の出入りも許容する「オープンカジノ」とともに大型統合型リゾート(IR)の開発に乗り出すなど、東南アジア各国では政府レベルの大規模投資がなされている。
統合型リゾートはカジノやテーマパーク、ホテル、ショッピングモール、プールなどを含む観光施設だ。
カジノ専門コンサルティング「アイゲイミックス(IGamiX)」の分析によると、タイのカジノ市場規模は250億~300億ドルと推定され、日本のパチンコ市場を上回ることを考えると、アジアのカジノ統合型リゾート市場に巨大な変化が起きそうだ。
◇アジア各地で競争激化
「アジアのラスベガス」と呼ばれるマカオが、中国当局の強力な反腐敗政策による10年間の「暗黒期」に陥り、昨年のカジノの総売上高は2004年以後、最も低くなった。
一方、東南アジア各国は、パンデミック以後の需要とマカオ市場の衰退に伴い、昨年は2019年度の70~80%の水準にまで急速に回復している。
さらに、シンガポール、フィリピン、カンボジアが統合型リゾートの追加建設計画を明らかにしている。そのうえ、賭博を禁止していたタイがカジノの合法化に積極的な姿勢を見せており、東南アジアのカジノ市場の競争は、さらに激しくなる様相だ。
カジノで経済成長を花咲かせたシンガポールは、90億シンガポールドル(約9090億円)を投資し、2つの大型統合型リゾートであるマリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサの拡張プロジェクトを2028年まで推進する。
東南アジアのカジノ市場が注視するタイは、1年前に特別委員会を作った。カジノ建設地として、プーケット、パタヤ、チェンマイ、クラビ、チェンライなど有名観光地が取りざたされている。
暗黒期を経験したマカオも再起を狙っている。6大カジノ企業が昨年12月、今後10年間、マカオに1200億パタカ(約2兆円)に迫る大々的な投資を断行することにした。
(つづく)
(c)news1