
本来、熱帯や亜熱帯に生息する希少な高級魚・メカジキ(カジキの一種)が韓国の東海岸に現れた。江原道三陟沖で3メートル、200キロの個体が捕獲されたものの、わずか6万ウォン(約6414円)という「屈辱価格」で取引された。クロマグロ(本マグロ)の豊漁とそれに伴う供給過剰が原因とみられている。
三陟水協やチョン・ヨンチョル三陟市議によると、三陟の汀羅津沖で7月10日未明、定置網漁船がメカジキを捕獲した。現場にいたチョン市議は「三陟港などに毎日足を運んでいるが、メカジキを見たのは初めてだ」として、SNSに写真や映像を公開した。
メカジキは太平洋、大西洋、インド洋といった温暖な海域に分布しており、韓国の東海岸での水揚げは極めて稀だ。味はクロマグロに似て脂が乗り、刺身やステーキなど高級料理の食材として使われる。
しかし、この日の三陟水協での競り値はわずか6万ウォン(約6414円)。これほどの希少魚にふさわしくない「破格」だ。
背景には、クロマグロの記録的な豊漁がある。三陟水協によると、2025年に入ってから同地域の市場だけで既に10トンのクロマグロが水揚げされており、昨年の年間20トンに迫る勢いだ。近隣の慶尚北道盈徳郡の港では、130~150キロ級のクロマグロ約1300匹が一度に水揚げされる事態も起きている。
その影響でクロマグロの価格も下落傾向にある。この日、メカジキと同時に226キロのクロマグロも捕獲されたが、価格はわずか45万ウォン(約48105円)。かつては200万ウォン(約213800円)前後で取引されたサイズだという。
三陟水協の関係者は「以前なら226キロのクロマグロは200万ウォン(約213800円)程度だったが、海水温の上昇で大量に捕れるようになり、価格が大きく下がった」と語った。
メカジキが安値で取引されたもう一つの理由は、その扱いに慣れた業者や飲食店が東海岸には存在しないことだ。加えて、口先が長く突き出した形状のため運搬にも手間がかかるという。
チョン市議は「海水温が上がる前はこの種の魚はほとんど捕れなかった。三陟にはメカジキを扱える業者や料理店がなく、需要もなかったため最安値で売られてしまった」と述べている。
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