
韓国の高級ブランド専門EC「BALAAN」が取引先への代金未払いに加え、企業再生手続き(法定管理)の申請を検討しているとの疑いが浮上している。景気低迷と消費不振が続く中での事態に、流通業界では「未払いの連鎖」への懸念が広がっている。
BALAANは今月24日、出店企業に支払い遅延を通知。取引額は月平均300億ウォン(約33億円)、登録企業は1300社以上になる。BALAANは28日、精算誤りの内容と支払いスケジュールを通知し、今後は正常な支払いを進めると説明した。
しかし、取引先では流動性危機が深刻化する中、未払いの長期化を不安視する声が上がっている。2023年末時点で資本はマイナス77億3000万ウォン(約8.5億円)と債務超過状態で、累積赤字も拡大したとみられる。さらに、社内パソコンに企業再生関連ファイルが保存されていたとの情報が拡散し、申請準備の可能性が指摘されている。
昨年のティモン・ウィメプも支払い遅延から企業再生に至った経緯があり、BALAANの動きに業界は敏感に反応している。BALAANも26日から全社員を在宅勤務に切り替えており、ウィメプ初期と類似点が指摘されている。
構造不況に直面する流通業界では、オンライン・オフラインを問わず苦境が続く。ホームプラスは今月、企業再生を申請。イーマートやロッテマートも不動産売却で資金を確保している。
オンライン大手も赤字が続き、中国勢との競争で苦戦している。特定分野に特化した「バーティカルコマース」も、資金調達難や市場縮小で経営危機に陥るリスクが高まっている。
業界関係者は「BALAANをめぐる状況はまだ流動的だが、代金未払いへの警戒感はかつてないほど強まっている」と話した。
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