2025 年 7月 26日 (土)
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ペットの様子もレシピの転送もAIが自動対応…韓国サムスンの「生活環境知能」戦略

サムスン電子のパク・ジソン副社長=サムスン電子(c)MONEYTODAY

韓国サムスン電子が描く未来は、人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)を融合させた「アンビエント・インテリジェンス(生活環境知能)」の実現だ。スマートフォンや家電など、日常生活に密着したさまざまなデバイスが連携し、ユーザーの行動や状況に応じて情報を共有・処理するという構想だ。

たとえば、外出中にペットの様子が気になった時、スマートフォンにはロボット掃除機のカメラで撮影された動画が送られてくる。電子レンジのスクリーンを見ながら料理をする主婦には、AIがスマートフォンで検索したレシピを自動で転送。音声アシスタント「Bixby」は、家族の声を識別してパーソナライズされたサービスを提供する。

こうした未来像の中心には、テキスト・音声・画像・映像といった多様な情報を同時に処理できる「マルチモーダルAI」の高度化がある。サムスン電子MX事業部でマルチモーダルAIを統括するパク・ジソン副社長は、米ニューヨーク・ブルックリンで開催された「Galaxy Unpacked 2025」で、「AIの最終進化形はアンビエント・インテリジェンスにある」と強調した。

パク副社長は「ユーザーが毎回タイピングするのではなく、目の前のシーンをリアルタイムで共有し、友人と会話するように自然にやり取りできるのが今後のAIとの対話のあり方だ」と語った。

今回発表された新製品「Galaxy z fold 7 Flip7」には、これまでで最も進化したマルチモーダルAIが搭載された。新機能「Gemini Live」では、スマートフォンのカメラを使って日常を映し出しながらAIと自然な会話が可能だ。

AI活用において、音声指示の使用頻度が増加していることも背景にある。サムスンとロンドン大学の共同研究によると、ユーザーの約45%がテキスト入力と同じ頻度で音声コマンドを利用しているという。パク副社長は「2017年にBixbyをリリースして以来、音声・視覚情報を総合的に処理できるスマートフォン技術を高度化してきた」と述べた。

今春、Galaxy S25に搭載された「Now Brief」機能では、ユーザーの命令がなくてもAIが必要な情報を自動で提供する。たとえば、天気予報をもとに「午後は雨の可能性があるので傘を持って行ってください」と通知したり、「1週間の画面注視時間」を測定して注意を促したりするなど、日常的にAIが介入する仕組みだ。

また、新しいユーザーインターフェース「One UI 8」は、ユーザーの意図を深く理解することで、これまで以上に個別化されたAI体験を実現することを目指している。

AI専用デバイスがスマートフォンに取って代わるという議論がある中で、パク副社長は「アンビエントAIの中心デバイスとして最も適しているのはスマートフォンだ。エコシステムもスマートフォンを中心にスマートウォッチ、タブレット、スマートリング、XRデバイスなどへと発展するだろう」との見通しを示した。

(c)MONEYTODAY

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