顧客サービスセンター入社3カ月の相談員の場合――。業務に慣れていないため、単純な顧客の要求を把握するだけで冷や汗をかく。問い合わせを聞き、答えるのに無我夢中だ。対応が長引くと、最初に何を聞かれたのか忘れがちだ。難易度の高い相談が入ると、急いで上司に助けを求めなくてはならない。
一方、KT顧客サービスセンターの新入相談員の場合――。人工知能(AI)アシストがあり、モニターで顧客との対話内容をテキストで確認できる。問い合わせ事項の把握が容易だ。AIが「重要な単語だ」と把握すれば、説明資料を提示してくれる。相談に応じるのがラクだ。さらに、顧客の特性に合わせ、食品を適切に推薦してくれる。自ずと、営業も成功する。
◇相談員の業務効率向上
KTは2018年、顧客サービスセンターのデジタル転換(DX)のため、人工知能コンタクトセンター(AICC)を導入した。
AICCは音声認識、音声合成、テキスト分析、対話エンジンなどの技術を使って、顧客サービスセンターの業務全般を最適化するシステムだ。
AICCが提供する技術の一つがAIアシスタント。新入相談員を「アシスト」した▽リアルタイムの対話の記録▽推薦する対話▽要約▽顧客特性に合う商品推薦▽相談内容評価――などの機能を提供したのも、このAIアシスタントだ。
相談員の業務効率を向上させるのに大きな役割を果たした。
◇モニターに対話内容が文字化
ソウルKT銅雀(トンジャク)顧客サービスセンター。相談員らは、落ち着いた雰囲気の中で業務に打ち込んでいた。
相談で騒がしかったり、慌ただしかったりという様子は見られなかった。モニターを見ながらマウスを動かしたり文字を入力したりしている。ヘッドセットがなければ、一般の事務と大差ない。
料金変更を尋ねる利用者から電話がかかってくる。
相談員のモニターには対話内容が文字で表示され、同時に「商品変更」が中心的な単語として強調された。そして、すぐに利用者の特性に合った推薦商品が提示される。
相談員はこれを見ながら、素早く最適な商品の案内を始めた。
◇顧客の要求、把握に時間かからず
応対が難しい内容の相談でも、チーム長の席に駆け寄って助言を求める必要もない。
それまでは、チーム長が各相談員の通話時間を確認したうえで相談員の席に出向いたり、内線電話で通話したりする必要があった。そのため、相談時間が長くなり、顧客の意図を聞き逃すというミスも発生した。
今では一定の会話時間が過ぎると、チーム長のモニターにアラームが鳴る。チーム長は会話の内容をリアルタイムで確認し、テキストメッセージでサポートする。
特に「直ちにチーム長に電話させろ!」というような困った状況でも、応対が容易になった。いままでは対話内容をすべて聞き取ったうえで分析し、応対しなければならなかった。だが、AIアシスタント導入後は、文字で表示された内容を確認できるため、顧客の要求を把握するまでに時間はかからない。
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