こんにちの政治はイメージと切っても切れない関係だ。ワンカットの写真が政治家の運命を分ける。選挙運動でのイメージメイキングは公約に劣らない重要な戦略に挙げられる。
最初のイメージ選挙と言われるのは1960年にケネディとニクソンの両氏が対決した米大統領選挙だった。当時、大統領選で初めてテレビ討論が導入された。
ラジオ討論を聞いた有権者は「ニクソン勝利」を予想したが、テレビ討論では一転。ケネディ氏のすらりとした外見とスマートなイメージは、老衰のように見えるニクソン氏と比べて際立った。
勝利したのはケネディ氏だった。この選挙は政治家に「公約だけでは勝てない。イメージも重視」を知らしめた初めての事例といえる。
◇上半身裸になったマッチョ・プーチン…大衆のボス・トランプ
その後、多くの指導者は自身が望むイメージを大衆に伝えるために努めてきた。
絶対権力者として君臨するロシアのプーチン大統領は、強靭で男性的なイメージを強調してきた。柔道、アイスホッケー、乗馬などスポーツだけでなく、釣り、狩りなどを楽しむ写真を公開し、マッチョ気質を露にした。シベリア奥地で休暇を過ごした後は、胸をあらわにしたり、ノースリーブを着た写真で丈夫な肉体美を披露したりもした。
白豹や虎のような猛獣も、プーチン大統領のイメージメイキングにしばしば利用される。プーチン大統領は2008年、シベリア・ウスリーの野生保護区域で、写真記者に飛びかかろうとしたトラを麻酔銃で制圧する姿を見せたこともある。ただ、のちにそれは野生ではなく飼育されたトラだという疑惑が持ち上がったりもした。
実業家出身の米国のトランプ前大統領は大衆的な「ボス」イメージを強調した。リアリティーショー「アプレンティス」で「おまえはクビだ」という流行語を作ったトランプ氏は、政治家に変身した後も知識人、教養人、専門職で構成された上流既得権層に向けて大胆な発言を続け、大衆のためのボスというイメージを固めた。
大統領選挙の運動当時、簡単な単語を使い、多少ダサく見えるだぶだぶな背広姿も、スマートな専門職既得権との対比効果を得るための計算が働いていたと分析される。
英国のジョンソン首相は変わり者のキャラクターとして有名だ。米思想家エマーソンが「英国のように、変わり者が自由に闊歩する場所はない」と言うほど、英国人は変わり者に寛大だという。
そのためか、ジョンソン首相は、もつれた髪の毛と、整っていない背広姿で率直で、ストレートな話術を披露するなど、変わり者のイメージを露にしている。ジョンソン首相は名門のイートン校やオックスフォード大を卒業するなど、伝統的なエリートコースを歩んできた人物。したがって、一部では「変わり者」のイメージは「演出」という分析もある。
◇3ドルのライスヌードルを食べたオバマ大統領
米国のオバマ元大統領は、親しみのある庶民の大統領というイメージで記憶されている。実際、選挙運動の時、同じスーツを5着買って交互に着て、気さくなイメージを刻み込んだという。
また、オバマ氏は在任期間中、ベトナムの古びた食堂でライスヌードルを食べたり、ホワイトハウスの清掃員とこぶしの挨拶を交わし、子供が頭をなでられるよう頭を下げるなど、人間味を強調した写真が公開され、話題となった。
米国のバイデン大統領はアイスクリームを通じて市民に親近感を与えている。スケジュールを終えたり移動したりする途中、街中のアイスクリーム店に立ち寄って、気さくなイメージをアピールした。特に甘いものを好んで食べるという。アイスクリームの中ではチョコレートチップアイスクリームが好みだという。
フランスのマクロン大統領は大統領選挙を控え、「気さくな」姿が目を引く。大統領選挙の決選投票を1週間後に控えた今月16日、ボタンがはずれたシャツを着て胸毛を露出したまま休息を取る姿を公開した。これについて、マクロン大統領が映画俳優のような豊かな胸毛をさらけだし、若い有権者へのアピールを試みたという分析も出ている。
また、黒いフードTシャツを着て、ひげも剃らないままカジュアルな服装で業務をする写真を公開し、若くてエネルギーあふれる指導者のイメージをアピールした。これについて、一部のネットユーザーは「マクロン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領をマネたものだ」と指摘している。
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