◇仮想で服、靴を身につけてみてください
「好きなアバターを選んで、仮想空間の中で服を着てみてください。ムアイン(MU AH-IN)(ムシンサ(MUSINSA)のバーチャルヒューマン)と一緒に写真も撮ることができます」
ソウル・聖水洞(ソンスドン)のベーシックスタジオではファッションプラットフォームムシンサのVR(仮想現実)ショッピング空間「ムシンサバ―ス」を直接体験できる空間が整えられた。メタ(旧フェイスブック)の韓国初ポップアップストアである「ミートメタ(Meet Meat)」の一部でVR機器であるメタクエスト(Meta Quest)を着用し、両手に持ったコントローラーで仮想空間の中を移動したり商品を選んだりする方式だ。
ファッションにメタバースを組み合わせた「メタファッション」の取り組みが増えているなかで、韓国ファッション業者がメタクエストを活用した事例は今回が初めてだ。仮想空間には3つのショールームに分かれ、それぞれカジュアル、スポーツ、キッズブランドの服が並んでいる。ムシンサバースでは利用者の身長と服のサイズを指定できる。個人情報などの問題で実際の身体サイズなどは入力できないが、今後は関連する技術も開発する予定だ。
メタファッションはオンライン上で衣類の購入が増え注目される市場だ。統計庁が発表したオンラインショッピング動向によると、今年上半期のオンラインショッピング衣服取引額は8兆7233億ウォンで、前年同期比13.6%増加した。過去には消費者がオンラインで衣類購入時にサイズ選択が難しかったが、新型コロナウイルス以後、オンラインショッピングを体験することが増え取引額は着実に増加している。
ファッション業界では、より多くの消費者を引き付けるためにメタファッションマーケティングに力を入れている。また別のファッションプラットフォーム「Wコンセプト」も9月、新世界(シンセゲ)グループの仮想人間ワイティー(YT)を使ったファッション製品を発売した。WコンセプトとWhere(空間)を合わせた「WWプロジェクト」で釜山(プサン)市海雲台(ヘウンデ)区の地域名所でAR(拡張現実)体験ができる。WWポスターのQRコードをスキャンして、「AR体験」をクリックすると、似合う服を着たYTの姿が現れる。消費者は商品の情報を確認したり購入したりすることもできる。
スポーツブランド「フィラ(FILA)」はARカメラアプリケーション「スノー(SNOW)」とコラボし、仮想で履いてみることができるARシューズフィルター2種を発売した。今年、デイリーシューズとして発売された「レイフライド(RAY FLIDE)」とテニスキャンバスシューズ「コートライト(Court Lite)」だ。スノーアプリでシューズフィルターを選んで、カメラを足に向けると、フィラ製品を仮想で履いてみることができる。
LFの自社ブランドハッジス(HAZZYS)は3Dバーチャルキャラクターである「ハッジスフレンズ」4人を作り、今秋・冬の男性コレクションを発売した。ヘッジスフレンズは男性アバターで、皮膚の色と髪の色を選べることで差別化した。各キャラクターに個人の性格タイプであるMBTI診断まで施して性格別ファッションを提案する。
仮想空間の体験が活発になっているが、まだ技術上の限界がはっきりしている。一例としてメタファッションは最終的には直接着てみなくても消費者のサイズ、肌の色などに似合うかどうかを確認できなければならないが、現実的に素材の肌触り、服や靴の着用感などを伝えることは難しい。「仮想と現実を行き来できるメタバース」と見るにはまだ現実とのつながりが足りないと指摘されている。
あるファッション業界関係者は「まだメタファッションは実用性よりは面白さというレベルに留まっているのが現状。新しい方式によってブランド経験を拡大するという点を重視している」と話した。
©MONEYTODAY