
ソウル地下鉄5号線で発生した放火事件は、迅速な通報と初期消火活動により大惨事を免れた。400人以上の乗客が乗っていた状況下で、21人が煙を吸って病院に搬送されたが、大きな人命被害はなかった。
ソウル交通公社や消防当局によると、事件が起きたのは5月31日午前8時43分ごろ。ヨイナル~麻浦駅間を走行中の列車内で、60代の男が可燃性液体をまき、衣類に火をつけるという形で放火を試みた。車両内はたちまち煙に包まれ、乗客らはパニック状態となったが、冷静な乗客と機関士の対応が惨事を防いだ。
現場に居合わせた乗客の一部は、非常通話装置を使って機関士に状況を通報。また、非常開閉装置を使ってドアを開放し、速やかに避難を開始した。列車が緊急停止すると、消火器を手に取り、初期消火にあたった乗客たち。その後、駆け付けた機関士も消火作業に加わったことで、火は放火された4号車内に留まり、他の車両には延焼しなかった。
消防当局は47台の消防車と230人の人員を出動させ、午前9時14分に初期鎮火、10時24分に完全鎮火を宣言した。
麻浦消防署のキム・ジンチョル行政課長は「消防隊が到着する前に乗客と機関士がすでに火をほぼ消し止めていた。消防は主に仕上げ作業と人命救助、応急処置に集中した」と説明した。
2003年に発生した大邱地下鉄放火事件を教訓に、ソウル市は車両の骨格や床、座席などを不燃性のステンレス素材に交換。また、非常通話装置や脱出用設備なども強化してきた。今回の事件でも、内部に可燃物が少なく、一部のゴミが燃えただけだったとされる。
ソウル交通公社は、模倣犯の発生を防止するため、6月3日まで全駅・列車を対象に警察などと連携して特別警戒体制を敷くと明らかにした。
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