2024 年 11月 24日 (日)
ホーム政治・社会・経済ネイバーとカカオが競う「未来の巨大市場」

ネイバーとカカオが競う「未来の巨大市場」

©news1

ネイバー(NAVER)とカカオ(Kakao)が未来の稼ぎ頭としてグローバルデジタルヘルスケア市場を選んだ。NAVERは新社屋に「スマート病院」を作り、カカオはヘルスケアCIC(社内独立企業)を中心に共同体の力量を結集させる。新型コロナウイルス感染で医療産業に人工知能(AI)とビッグデータ・クラウドなど先端IT技術を加えたデジタルヘルスケア市場が爆発的に成長しているという判断からだ。

◇グローバルデジタルヘルスケア市場、先取り競争が本格化

業界によると、ネイバーは来年、第2社屋に約200坪規模の社内病院をオープンし、社員対象の「ネイバーケア」サービスを提供するという。これはネイバー式の「アマゾンケア」だ。アマゾンは2019年、米シアトル本社の社員を対象にモバイルアプリでの遠隔医療・処方薬の宅配サービスを提供してきた。ただ、NAVERはアマゾンとは異なり、家庭医学科・リハビリテーション医学科・耳鼻咽喉科・泌尿医科の医療陣が社内病院に常駐して診療し、処方箋を出す。

ネイバーは社内病院にクローバ(Clova)CICのAI技術を適用する。例えば、医療陣が話すと、音声認識技術で患者のEMR(電子医務記録)を作成する。クローバは現在、看護記録業務に特化した音声認識エンジンを開発中で、社内病院をテスト病床にしている。ネイバーはこれに先立ち、順天郷(スンチョンヒャン)大中央医療院と共同でAI学習に必要な医療データを確保し、「ボイスEMR」のモデル事業を推進すると発表している。

ネイバー関係者は「ほとんどが手書きの病院業務をAIにデジタル転換すれば、医療陣は患者診療にだけ集中でき、病院の効率も高めることができる。海外系列会社LINEは昨年12月から、日本でLINEアプリで病院検索・予約・診療・決済を一度にできる『LINEドクター』を展開している」と語った。

業界では社内病院がスマート病院に進化すると見ている。第2社屋はロボットと親和性の高い世界初の建物のため、社内病院にAIだけでなくロボットも活用されるという観測だ。国内のロボット手術専門家のナ・グンホ(羅君鎬)延世大セブランス病院教授を、社内病院を運営するヘルスケア研究所所長に迎え入れたのもこの脈絡からだという。

ほかにも、ネイバーはAIベースのがん診断ソリューションを開発するルーニット(Lunit)に100億ウォン(約9億6700万円)を投資したのに続き、ソウル大病院の子会社であるイージーケアテックへの投資も検討している。

◇カカオ、ヘルスケアCICを設立

カカオは2019年、ソウル・峨山(アサン)病院と手を組んでジョイントベンチャー・峨山(アサン)カカオメディカルデータセンターを設立し、ヘルスケア市場に進出した。最近は、関連事業を拡大するためにヘルスケアCICを設立した。

代表には、盆唐(プンダン)ソウル大病院のファン・ヒ教授兼イージーケアテック副社長を選任した。ファン代表は2019年、米国医療情報学会(HIMSS)から「デジタルヘルスケア革新リーダー50人」に選ばれた人物で、20カ所以上の海外病院とデジタル病院革新事業を推進したことがある。

カカオブレーンも来年、デジタルヘルスケア事業を本格化させる。最近、AIを活用した新薬の設計会社スタートアップ「ギャルックス」に50億ウォン(約4億8400万円)を投資し、共同研究を進めることにした。候補物質の開発だけで平均5年、約6億7000万ドル(約771億3040万円)かかる新薬開発過程と費用を、AIで画期的に短縮するという目標だ。

カカオベンチャーズもまた、ソウル・ワイズ・リハビリ療養病院のキム・ジウォン院長をパートナー審査役(常務)に迎え入れ、デジタルヘルスケア分野への投資強化を予告した。

カカオブレーンのキム・イルドゥ代表は最近の懇談会で、ヘルスケアに注目する背景に「人がする仕事で高付加価値を作りながらも、利用しづらい分野だから」と説明した。「AIを基礎としたデジタルヒューマンは、すべての人に主治医をつけることができる。利用しづらく、費用が多くかかる領域をAIで大衆化すれば、多くの付加価値をもたらすと思う」とも強調した。

市場調査会社GIAによると、グローバルデジタルヘルスケア産業は昨年、1525億ドル(約17兆5542億円)規模で、年平均18.8%ずつ成長し、2027年には5088億ドル(約58兆5730億円)に成長する見込みだ。韓国では、非対面診療に対する医療界の反発で関連産業が停滞しているが、世界的にはデジタルヘルスケア産業が開花すると展望されている。

韓国開発研究院(KDI)は「新型コロナによる非対面経済の拡散と、高齢化による慢性疾患者の比重増加などの社会的変化により、デジタルヘルスケアの必要性がますます拡大する方向にある」とみる。「韓国でも最近、規制改革や協議機構設置のような論議が展開されており、絡まった結び目を解く一つの鍵になる」と分析している。

©MONEY TODAY

RELATED ARTICLES

Most Popular