
トランプ米大統領による「関税圧力」が再び現実のものとなり、韓国のファッションOEM・ODM企業に深刻な影響を及ぼし始めている。米国の有力ブランドから「関税負担を折半しよう」という要求が相次いでおり、輸出依存度の高いK-ファッション企業の収益性に赤信号が灯っている。
実際、米衣料大手のGAPやJCPenneyは、韓国のハンセ実業や太平洋物産などのOEM・ODM企業に対し、「関税を取引先と折半したい」と打診。JCPenneyは、FOB(本船渡し価格)から5%以上の割引を求めている。これらの要求は、インフレや消費不振による価格上昇の限界を背景に、仕入れ価格を抑えようとする試みだ。
これらの韓国企業はベトナムやバングラデシュ、インドネシアなどに生産拠点を持ち、現地で製造した製品を米国へ輸出している。ところが、米国が新たに課した国別相互関税率は、ベトナム46%、バングラデシュ37%、インドネシア32%と高水準。これを取引先と半分ずつ負担すれば、利益率が一気に圧迫される形となる。
韓国OEM企業の平均利益率が5~15%に過ぎないことを考えると、関税分だけで赤字転落の可能性もある。業界関係者は「泣く泣く受け入れている状況だ」と吐露する。
一部の企業では、長期的には関税負担の少ない国へ生産ラインを移転する計画も浮上している。ハンセ実業は中米のエルサルバドルやグアテマラ、セア商域はニカラグアやグアテマラへの展開を検討中。また、永元(ヨンウォン)貿易も進出していない国への迅速な移転を検討中と明かしている。
しかし、国ごとの労働者の熟練度やインフラの違いもあり、生産ラインの完全な移転は容易ではないとされる。
韓国のOEM・ODM業界は、GAPやH&M、ターゲット、ウォルマートなど、米国の大手ブランドへの依存度が非常に高い。ハンセ実業では、GAPとその傘下ブランド「オールドネイビー」からの注文が売り上げの約49%を占めているという。
企業関係者は「注文を断れば工場ラインの停止にも繋がりかねない」とし、「たとえ赤字になっても、受注するしかない」と語る。
現時点では関税を“飲んで”対応しているが、業界内では「この状態が続けば経営の根幹を揺るがしかねない」との声が高まっている。利益率がもともと低いため、これ以上の負担は致命的だ。
(c)MONEYTODAY