
韓国の鉄鋼業界がトランプ米大統領の鉄鋼関税引き上げ発表により、さらなる業績悪化に直面している。既に今年3月から25%の関税が適用され輸出が減少傾向にある中、50%への引き上げは致命的な打撃となる。米国は韓国鉄鋼にとって最大の戦略市場とされており、価格競争力の喪失による中長期的な悪影響が懸念されている。
トランプ大統領はペンシルベニア州ピッツバーグ近郊のUSスチール製鉄所で5月30日(現地時間)開かれた集会で「米国に輸入される外国製鉄鋼への関税を25%から50%に引き上げる」と明言した。
米国市場は韓国鉄鋼業界にとって戦略的価値が高い市場であり、2024年には全体輸出の13%を占めた。米国の鉄鋼価格が比較的高いため、高い収益性が期待できる市場とされている。
しかし、今年3月に導入された25%の関税だけでも輸出は大きく減少していた。3月の韓国からの対米鉄鋼輸出額は3億4000万ドルで、前年同月比18.9%減、輸出量も14.9%減の25万トンに落ち込んだ。
50%にまで関税が上がれば、現地市場での価格競争力はほぼ消失する。米国内では「K-鉄鋼」よりも価格の安い製品を好む傾向が一層強まっているからだ。
IBK企業銀行の報告書「米国の関税が韓国輸出に与える影響」によれば、25%の関税により韓国の対米鉄鋼輸出は11.47%減少すると見込まれていた。2024年基準で29億ドルの輸出額とすると、約3億3000万ドルの減少になる。50%になれば、この損失はさらに膨らむ可能性がある。
韓国企業も現地対応を始めている。現代製鉄は先月、米ルイジアナ州に電気炉製鉄所を建設すると発表。総投資額は58億ドルに上る。ポスコグループも現代製鉄への出資を通じてプロジェクトに参加することを公式化した。
ただ、工場稼働までには時間が必要である。現代製鉄の量産開始目標は2029年であり、トランプ大統領の在任中は実績悪化を避けられない。これにより、業界では投資と許認可の手続きを急ぎ、操業開始を前倒しする動きが出ると見られている。
鉄鋼業界関係者は「現地州政府との協力が早ければ、トランプ氏の任期内に稼働できないわけではない。韓国の新政権が誕生し、対米交渉を通じて関税障壁が引き下げられることを期待している」と述べた。
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