トランプ米政権の発足により、韓国の防衛産業(K-防衛産業)が再び成長の機会を迎えるとの期待が高まっている。
韓国防衛産業は、かつて輸出額が年間20~30億ドル程度だったが、2022年には173億ドルを記録して急成長。しかし、2023年には135億ドル、2024年には95億ドルに減少しており、新たな突破口が求められている。このような中、トランプ大統領の再任が韓国防衛産業にとって新たな追い風になる可能性が指摘されている。
トランプ大統領は、主要国の自立的な防衛力強化を強調しており、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して防衛費をGDP比3%以上に増額するよう要求している。NATO加盟国はロシア・ウクライナ戦争後、防衛力強化が急務となっており、韓国の防衛産業との友好関係を築いている。
トルコ、ポーランド、ノルウェー、フィンランド、エストニア、ルーマニアの6カ国が韓国製K9自走砲を導入または運用中で、これらの国々の防衛費増加はK-防衛産業にとっての新たなチャンスとなるとみられる。
さらに、米国市場への進出にも期待が寄せられている。トランプ政権は国防力強化と国防産業を通じた雇用創出を公約しており、第1期政権では国防費を約10%増加させた経緯がある。この政策が再び実施されれば、韓国防衛産業にとって重要なビジネスチャンスとなる。
韓国企業の動きも活発だ。韓国のハンファエアロスペースはK9自走砲を中心に米国の国防調達市場開拓を進めている。またLIGネクスワンの誘導ロケット「ビグン」は、米国の海外比較試験(FCT)を通過し、現地進出に向けた重要な一歩を踏み出している。
一方で、課題もある。トランプ大統領がロシア・ウクライナ戦争の早期終結を支持している点は、韓国防衛産業の輸出に影響を及ぼす可能性がある。ただ、過去の事例では戦争終結後も兵器需要は減少しなかったため、影響は限定的と予測されている。
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