2025 年 4月 19日 (土)
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“トランプ式変則戦術に慌てるな”…わずか2時間の日米協議、韓国へのヒントは

2025年4月16日(現地時間)、ホワイトハウス執務室で赤沢亮正経財相と面談し記念撮影に臨むトランプ米大統領=ホワイトハウス(c)news1

米首都ワシントンで16日午後(日本時間17日午前)、日本と米国はトランプ政権下での新たな関税協議に着手した。日本側代表団は赤沢亮正経済財政・再生相を筆頭に、ホワイトハウスでトランプ大統領と50分間面会し、その後、ベッセント財務長官らと75分間にわたって協議した。

この日米協議は今後、米国が韓国や英国、インド、オーストラリアなどと進める通商交渉の“前哨戦”と位置づけられ、次週に控える韓米協議にとっても重要な参考資料となる。とりわけ、自動車や鉄鋼、LNG開発、駐留米軍経費負担といった分野で、日本と韓国は共通する懸案を抱えている。

◇米国は「曖昧な不満」で日本を圧迫

トランプ政権が仕掛けた今回の協議は、事前に十分な議題の共有がなかったこともあり、米国は明確な要求よりも“漠然とした不満”をぶつけ、日本側から譲歩を引き出そうとしたとみられる。

赤沢氏は「米国の関心がどこにあるのかを把握したい」と出国前に語っていたが、交渉後には「トランプ大統領から“これをやれ”という直接的な指示はなかった」と述べ、交渉は探り合いの初期段階に留まったことを示唆した。

◇安全保障問題が協議テーブルに…韓国にも“連動リスク”

今回の協議で注目すべきは、通商問題だけでなく「安全保障」も協議に含まれた点だ。トランプ大統領は事前に自身のソーシャルネットワーク「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」で「日本とは関税、軍事支援、貿易の公平性について話し合う」と明言しており、交渉で優位に立つためにあらゆるカードを利用する姿勢を見せた。

韓国と同様に、米国に安全保障を大きく依存する日本は、安全保障の名のもとに経済面での譲歩を迫られやすい。実際に、協議後、赤沢氏や石破茂首相は「為替問題は協議されなかった」と述べる一方、「安全保障関連の話があったか」との質問には明言を避け、実質的に安全保障という議題の存在を認めた形だ。

このような“パッケージ交渉”方式は韓国にも適用される可能性が高く、在韓米軍の防衛費や北朝鮮の核問題など、予想外の話題が唐突に交渉のテーブルに載る可能性がある。

◇トランプ氏の“サプライズ登場”にも備えよ

日本政府はトランプ大統領が突然、SNSで協議参加を予告したことで、前夜に緊急対策会議を開催するほど緊張を強いられた。協議団に防衛省の関係者が含まれていなかったため、交渉の対応力に不安の声もあがったという。

実際、赤沢氏は会談後に「トランプ大統領はとても包容力があり、心温かい方だった」と語り、“好印象”を強調したが、これはトランプ特有の“心理戦”に巻き込まれた可能性もある。

立憲民主党の大串博志代表代行は「国家の利益をかけた交渉に毅然と対応してほしい。赤沢氏の交渉力に懸念を覚える」と批判した。

◇韓国、拙速な合意より“長期戦略”を

日米両国は「できるだけ早期の合意と、首脳発表を目指す」として今後も交渉を継続する方針だ。ただ石破首相は「依然として立場に隔たりがある」として、場合によっては自ら渡米してトランプ大統領との交渉に臨む考えも示した。

一方、大統領弾劾でリーダー不在状態にある韓国は、このような“トップ外交”カードを切ることができない。6月3日の大統領選を経て新政権が発足するまでの間、韓国としては焦って短期的成果を求めるよりも、長期的かつ戦略的に米国と向き合う必要があると専門家は指摘している。

(c)news1

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