テレビやユーチューブを視聴中に現れ、コンテンツの流れを断ち切る「ミッドロール広告」。視聴者の否定的な感情を引き起こすものの、逆に広告をしっかり記憶させる効果がある――こうした研究結果を、韓国・蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)バイオメディカル工学科のキム・ソンピル教授チームが明らかにした。
チームは▽ミッドロール広告の入った映像コンテンツを見る実験グループ▽コンテンツ前後に広告を見る対照グループ――に分け、動画広告を視聴する間、広告情報を記憶して情緒的に反応するプロセスで出る脳波をそれぞれ測定し、比較した。
両グループとも、広告の要素・特性によって、意図せずとも集中する「ボトムアップ型注意(bottom-upattention)」にしたがって記憶が形成された。視聴者が関心のあるモデルや商品が出れば、おのずと記憶に残る現象だ。
実験グループは対照グループより、記憶した広告の数は多かった。これはボトムアップ型注意に加え、ミッドロール広告による否定的な感情も記憶の要因として作用したためだ。チームは「否定的な感情が、記憶形成の触媒として役割を果たしたことを示している」と説明している。
実験グループが抱いた否定的感情は、広告そのものには転移せず、広告の商品に対する購買欲求に影響を及ぼすこともなかった。広告映像コンテンツの関心度を測定した結果、実験グループと対照グループともに統計的な差はなかった。
つまり、ミッドロール広告は、広告の中身や挿入された映像コンテンツが否定的感情によって影響を受けることはなく、否定的な感情とともに記憶されるため、映像前後に送出される広告より、脳裏に刺さって広告効果が高まるということだ。
研究チームは、今回の成果を「広告効果や収益拡大策を追求したり、ミッドロール広告規制政策を整備したりするための根拠として活用できる」と期待している。ユーチューブやネットフリックスのような映像事業者が、ミッドロール広告や映像前後広告の順序・位置に伴う広告費を科学的に算定できるとともに、視聴者が不快と感じる広告のタイミングを回避するよう誘導できるという。
この研究は科学技術情報通信省が支援する高麗大スマートメディア研究センターや韓国研究財団が支援する超融合AI源泉技術開発事業を通じて進められ、学術誌「Journal of Advertising)」に最近掲載された。
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