コラム
MONEYTODAYエディター キム・ゴグムピョン
韓国の「歌王」チョー・ヨンピルが公演開始と同時にステージに上がる。すると、真っ先に注目を集めるのが「革新的な舞台」「照明」「音響」だ。「チョー・ヨンピルのコンサート」と言えば、この3つのキーワードが象徴的に浮び上がる。
彼がいくら年齢を重ねても「信じて見る」コンサートの本質は変わらない。
コンサートでは、ささいなミスも許さない性格の持ち主だ。韓国で初めて「ムービングライト」を導入し、上下左右を自由自在に動かすステージを実現したのも、コンサートに向けた彼の無限の情熱と苦悩の結果であるわけだ。
思った通りのステージだった。
11月27日、ソウル市松坡区(ソンパグ)の「KSPO DOME」(オリンピック体操競技場)で4年ぶりに開かれた単独コンサートでも、「歌王」は時間を越えて、衝撃と驚きを与えた。
25坪の居間で100インチテレビを見るように、6つの発光ダイオード(LED)スクリーンがコンサート上段左右に配置された。観客1万人から「感嘆詞」が連発された。これでも足らないかとばかり、横6メートル、縦40メートルに達する長方形LEDを空中にぶら下げて、15度から90度まで動いて、躍動感を補強した。
最初の曲は「夢」。その声は10年前と変わらなかった。「ピッチ(音程)の教科書」という評価がうそではない、と言わんばかりに、高音から低音に落ちる瞬間にも正確な音を出す。
歌詞を損なわない正確な発音、速い曲を次々に歌い上げても乱れない呼吸――。ステージで彼は「ノスェ(老衰)」ではなく「ムスェ(鋳鉄)」だということをアピールしていた。
歌王は72歳だが、27歳のようだった。2時間余りを“ほんの20分”と思わせるようだった。
23曲をほとんど休まず歌う(特に3、4曲ずつまとめて歌う)。このエネルギーを「若さ」という言葉以外で、どう説明すればよいのだろうか。
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