ソウル・梨泰院の雑踏事故(2022年10月29日)を記憶し、共有する空間「星たちの家」。今月23日、訪れた市民らが紫のリボンを作る姿が見られた。
「英語塾で子どもたちがハロウィンパーティーを楽しみにする姿を見ると、あの惨事が頭をよぎる」
ある女性はこう語る。子どもたちが無邪気に楽しめるはずの行事が、暗い記憶と重なる現実にため息を漏らした。
梨泰院事故の遺族と市民団体が主催する「市民と共にする紫リボン工房」に今年も参加したこの女性は、10月末になると「条件反射のように気持ちが重くなる」と話す。
集まった20人ほどの市民が紫のリボン作成に励む中、ある男性は「たくさん作るために手袋を持参した」と意欲を見せ、悲しみを共有しながらも追悼のリボンを仕上げていった。
ある女性(17)は「友人とは梨泰院惨事について話すことは少ないが、ここで他の人々と記憶を共有できてうれしい」と語る。
またボランティア女性(30)は「惨事を理解しがたいまま迎えた2年目が重い」と心情を吐露した。
3人の子どもを持つ男性(56)も「自分の子どもと同世代が多く、ニュースを聞いた時の胸の痛みが残っている」と語り、社会としての対応不足に責任を感じると述べた。
惨事から2年目。市民の間では罪悪感や疑念など複雑な感情が残る。
学生時代にセウォル号惨事を経験した25歳の女性は「ハロウィンを楽しむことは、まだ心が許さない」と述べ、「ハロウィン」と聞けば「悲劇」という言葉が浮かぶそうだ。
心理学者のイム・ミョンホ檀国大学教授は、こうした事件が集団的トラウマを生む「記念日グリーフ」の一例と分析したうえ「ハロウィンが近づくと、罪悪感や不安が増すだろう」と述べ、まだ癒しには至っていないと指摘した。
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