
ソウル・首都圏の地下鉄基本運賃が6月28日、1400ウォン(約148円)から1550ウォン(約164円)へと150ウォン(約16円)引き上げられた。これにより、慢性的な赤字を抱えるソウル交通公社の財政状況が改善するかが注目されている。
ソウル地下鉄1~8号線を運営するソウル交通公社の赤字は年間数千億ウォンにのぼり、2024年の当期純損失は7237億ウォン(約767億円)と、2023年の5173億ウォン(約548億円)から2000億ウォン(約212億円)以上も悪化した。今年も5000億ウォン台(約530億円台)の運送損失が予測されており、経営改善は急務とされていた。
今回の150ウォン(約16円)の運賃引き上げにより、2025年は849億ウォン(約90億円)、2026年以降は毎年1600億ウォン超(約170億円超)の増収効果が見込まれている。ただし、今年の増収分は下半期からの反映となるため、赤字幅自体は大きく改善しない見通し。
さらに、市の政策や制度変更により、収益悪化が続く可能性もある。野党「国民の力」のソウル市議によれば、無賃乗車の増加、気候同行カードの割引損失、15分以内の再乗車無料制度などにより、2025年の運輸収入の損失は計5328億ウォン(約565億円)に達する見通しだという。
中でも最大の原因は無賃乗車で、今年の損失額は4385億ウォンと全体の大半を占める見込みだ。2025年1~3月期の無賃乗車人数は6648万人で、前年同期より46万人増加し、この3カ月間だけで999億ウォンの損失が発生した。年間では約2億7777万人が無賃で地下鉄を利用すると予測されている。
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