「寒くなると夜明けにホームレスがどっと押し寄せてきます」
ソウル地下鉄1・4号線ソウル駅のトイレ清掃員らは冬が来るたびに頭を悩ませている。日の出前の午前5時に出勤し、人通りの少ないトイレを一人で掃除しなければならない。
「あるホームレスが用を足した後、その場に下着まで放置していった。別のホームレスは地下鉄のベンチで小便をして、それを掃除するのに苦労した。夜遅くになれば、彼らに睨まれる。罵声を浴びせられることもある」
ある清掃員はこう打ち明ける。
今年8月、ソウル・崇礼門地下道で30代のホームレスが60代の女性清掃労働者を刃物で刺して殺害する事件が発生した。
この事件から4カ月が経過し、今は2人1組の作業体制や非常ベルの設置などが導入された。それでも、現場で働く清掃員らの不安は解消されていない。
別の清掃員は「夜間になるとホームレス同士で喧嘩が起きることも多く、巻き込まれそうで怖い。トイレを綺麗に使ってほしいとお願いしても、『掃除があなたの仕事だろ』と言われ、罵られる」という。
さらに別の清掃員は「洗面台で髪を洗ったり、障害者用トイレで体を洗ったりして水浸しにするホームレスもいる。ソウル駅のトイレは他の地下鉄よりも頻繁に掃除する必要があり、業務の負担が2~3倍になる。休憩時間もない」と吐露する。
◇ホームレスの姿はなく…
一方、崇礼門地下道では状況が一変していた。早朝の地下道にはホットパックの包装紙や乾パンの袋などが散乱していたが、ホームレスの姿はなかった。中区庁は崇礼門地下道を含む計9つの地下道を重点管理し、午前6時から10時までは2人1組で、10時から午後3時までは1人で清掃作業を担当するシフトを敷いている。ただし、夜間勤務はない。
それでも、一部の清掃員は不安から仕事を辞めてしまうケースもあるという。清掃員の1人は「女性の清掃労働者2人が辞めた。9つの地下道のうち、現在女性が働いているのは2カ所だけで、他は男性が担当している」と語った。
さらに地下道には「安全区域」の案内板が設置され、緊急時に非常ベルを押せば警察が即時に出動するシステムが導入された。警察は照明の改善や監視カメラの追加設置を自治体に要請するなど、犯罪予防に努めている。
中区庁の関係者は「崇礼門地下道には非常ベルを3カ所、徳寿宮地下道には1カ所、その他の地下道には2カ所ずつ設置した」と説明する。
(c)MONEYTODAY