ソウル交通公社が、地下鉄の安全運行を妨害したり、施設を壊したりしたのに知らぬふりを決め込んでいる乗客に対し、過失が明白な場合には刑事告訴や損害賠償を求めるなど積極的な対応に乗り出す。
公社によると、2020年から今年6月までに、ソウル地下鉄で起きた乗客による列車運行妨害や施設物破損などは計108件に達する。
これまでの寛容な姿勢を改めることにしたのは、1つの小さな事故が、1日700万人以上利用する地下鉄の円滑な運行を妨げ、市民の足を混乱させかねないからだ。
例えば、公社はこのほど、運転室に無理やり入った酔っ払いを鉄道安全法違反容疑で告発した。この酔っ払いは先月23日午後9時ごろ、2号線の車内で閉まるドアに6回も足を挟んで運行を妨害したため、列車が3分ほど遅れた。乗務員が車内放送でやめるよう伝えたが、言うことを聞かないばかりか、注意されたことに怒って運転室に入り込んだという。
これまで判明している違反事案だけでも2500万ウォン(約278万円)以下の過料となり、鉄道職員への暴言や暴行が認められれば5年以下の懲役か5000万ウォン(約570万円)以下の罰金が科せられる可能性がある。
昨年7月にはエスカレーター整備に不満を持った60代の男性乗客が、エスカレーター上部に設置されていた安全フェンスを投げつける事件が起きた。器物損壊が認められれば3年以下の懲役か700万ウォン以下の罰金に処される。
同11月には、スーパーのショッピングカートを押して7号線の列車に乗ろうとする乗客が現れ、カートがドアに挟まったまま発車した。プラットホームに接触したカートから火花が飛び散る危険な事案があり、7号線が15分間止まった。
乗客は何の謝罪もなく、床に落ちた野菜を拾い集めて駅から出て行ったという。公社は刑法第186条(汽車など交通妨害罪)などでこの乗客を警察に告訴した。有罪になれば1年以上の有期懲役に処される。
ソウル交通公社のキム・ソクホ営業本部長は「安全な地下鉄の運行のため、規則を守って利用してほしい。大きな事故につながりかねない施設の破損や運行妨害に対しては厳正に対応する」と述べた。
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