
ソウル地下鉄で授乳室を備えた駅は全体の3分の1にも満たないことが分かった。ソウル駅や鍾路3街(チョンノサムガ)駅、汝矣島(ヨイド)駅など主要駅にも授乳室がなく、特に「新設駅に授乳室を義務化」した後に開通した9号線や牛耳新設線でも整備が不十分だとして改善を求める声が上がっている。
共に民主党のソン・ミョンス議員がソウル交通公社とソウル市から提出を受けた資料によると、ソウル交通公社が管轄する276駅のうち授乳室が設置されているのは86駅(31.2%)にすぎなかった。1~9号線と牛耳新設線、新林線を合わせた全338駅のうちでも、授乳室のある駅は108駅(32%)にとどまっている。
1・4号線の主要駅であるソウル駅、鍾閣(チョンガク)駅、鍾路3街駅、恵化(ヘファ)駅、明洞(ミョンドン)駅、水逾(スユ)駅にはいずれも授乳室がなく、汝矣島駅(5・9号線)や千戸(チョノ)駅(8号線)も同様だった。
民間資本による路線では整備状況に大きな差がある。新林線では全11駅のうち10駅(91%)に授乳室があるが、1日平均利用者が約5万9000人に達する新林駅には設置されておらず、2号線側の施設を借りて使うしかないという。
特に2009年に開通した9号線は、同年7月に「新設駅の授乳室設置義務」が導入されたにもかかわらず全区間に授乳室がない。2017年開通の牛耳新設線も同様に未設置だ。義務規定は公社路線だけでなく民間鉄道にも適用されるが、実施状況の点検や罰則がなく、制度の実効性が伴っていない。
また、設置されている授乳室でも環境整備に差がある。109カ所のうち16カ所は授乳用の間仕切りがなく、1人掛けソファが置かれていない場所も64カ所に上った。外国人観光客の多い三成(サムソン)駅も、間仕切り・ソファともに設置されていなかった。
ソン議員は「ソウル地下鉄は1日700万人以上が利用する生活交通網だが、授乳施設は市民需要にまったく追いついていない」と指摘し、「子どもと保護者が安心して利用できる交通サービスは“選択”ではなく“基本権”の問題だ。実効性のある改善策が急務だ」と強調した。
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