この2年間、ソウルに住む高齢者の公共交通の利用状況を調べたところ、8割を地下鉄が占めた。高齢者の地下鉄料金無料制度が大きく影響しているとみられる。
ソウル市によると、2021~23年の交通カードデータを基に分析した「2年間のソウル市民公共交通(地下鉄+バス)利用件数」は計31億830万4550件だった。バスは14億2385万3029件、地下鉄は16億8445万1521件だった。
年齢別でみると、19~64歳ではバスが12億6288万1864件、地下鉄が13億6860万4808件と、両者で利用件数に大きな差がなかった。だが65歳以上になれば、地下鉄が2億1323万6682件、バスが4719万2095件で、地下鉄利用回数がバス利用回数より約4.5倍も多く、地下鉄利用は82%を占めた。
1980年代に施行された料金無料制度で、かなり以前から同様の傾向があるとみられている。
亜洲大学都市工学科のユ・ジョンフン教授は「無料の特典があるので、お年寄りたちはすぐ前にバス停があってもバスに乗らずにしばらく歩いて地下鉄に乗る。ソウルだけでなく首都圏全体でみられる現象だ」と説明する。
今後、少子高齢化傾向が続くと、料金無料制度を維持することができるのか、懸念の声も出ている。一部では、無料制度が公共交通赤字の原因の一つと指摘する意見もある。
65歳以上の地下鉄料金を100%免除する現制度が施行された1984年までは、65歳以上の人口比率は4.1%に過ぎなかった。しかし、現在は16.6%に達し、状況は異なる。さらに平均寿命が高くなり、2030年には韓国の高齢者人口の割合は30%を超える見通しだ。こうした中で、累積18兆ウォンに迫るソウル交通公社の赤字は年々増えている。
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