寒い冬の辛さは人に限った話ではない。弱くて、話せない動物にも厳しい季節だ。
ソウル市江東区(カンドング)の「天使の家」。捨てられた老犬・老猫を世話する民間保護施設だ。急騰する暖房費と、新型コロナウイルス感染拡大後にボランティアが減ったことによる人手不足により、困難に直面している。
◇「死の入り口で救助」
今月7日午前11時、都心の中にある保護所のドアを開けて入る。すると、老犬たちが待ち構えていたかのように尻尾を振りながら近づいてきた。あちこちに散らばったおもちゃと茶碗いっぱいに盛られた餌から、ボランティアたちの愛情が感じられた。
老犬たちは、人を警戒するどころか、ゆっくり近づいてきて体をこすったり、頭を突きつけた。さわがしいい雰囲気は、長い間、ボランティアを務めてきたチョン・ソヨンさん(31、女)の手招きにより、すぐ落ち着いた。
やわらかい黄色の服を着た12歳、「パッチ」という名の犬だ。犬農場で食用犬として売られる1カ月前、引き取られたという。
チョンさんは、パッチの頭をなでながら「冬は寒いからか、確かにボランティアが減りましたね……。私はこの子たちに会いたくて、今週だけで2回も来たんですよ」と力なく語った。
「天使の家」には、路上で救助された10歳の末っ子「ウンビ」、雑種という理由で捨てられた最高齢犬19歳「ヌル」。さまざまな痛みを抱えて捨て犬・猫となった14匹が生活している。
「天使の家」の責任者のキムさん(61)はこんな話をした。
「ここにいる子たちは、死の入り口で救助されたんですよ。安楽死が迫ったり虐待されり……。子供たちを1匹、2匹、救助してきて、18年間で約400匹ですね。これだけの数の子らが『天使の家』に足を踏み入れ、去っていったんですよ」
◇責任者が体調不良に
老犬・老猫たちが疲れた体を休める「天使の家」。だが、その未来は不透明だ。
キムさんが脳出血で倒れて体が不自由になったうえ、新型コロナ以降、ボランティアの足も遠のいた。
キムさんは、多くの時間を病院で過ごすようになった。
「この子たちにご飯と薬を与え、温度を調節するボランティアがいてほしいのですが……。コロナによって、その数が半分に減りました。ネット上で『助けてください』と何度も呼びかけています」
「天使の家」はサンドイッチパネル(鋼板2枚で発泡ウレタンをサンドイッチするようにして作った部材)で組み立てられている。寒さに弱く、常に暖気を供給する必要がある。
今年、都市ガスと地域暖房費は前年同月比でそれぞれ36%、34%引き上げられ、その負担は「天使の家」に重くのしかかっている。「月に支払う暖房費は60万~70万ウォンになります」。キムさんは危機感を募らせている。
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