今月12日午後1時、ソウル市鍾路区寿松洞(チョンノグ・スソンドン)の靴屋の経営者は「まるでせきをするのが仕事だ」とため息をついた。靴屋の隣では会社員2人がたばこを吸っていた。煙は窓から店内に流れ込み、店の脇の箱には吸い殻がうず高く積まれていた。ここが鍾路区の「たばこ名所」になったのは、裏にあった喫煙所が閉鎖されてからだ。
ソウル市などによると、25の自治区が指定した屋外喫煙所は計118カ所。だが、鍾路区には1カ所しかない。昼休みともなれば区内の通りはたばこを吸う会社員でいっぱいになる。国民健康増進法によると、喫煙所でしか吸えないわけではなく、禁煙区域以外ならどこでも喫煙できるからだ。
たばこを吸わない30代の妊婦は「光化門通りを歩いていると煙が立ち込めている。通勤のたびにせきが出る。本当にストレスだ」と話した。
一方、喫煙者の50代会社員は「禁煙区域で吸っているわけでもないのに通行人がとがめるように振り向く。無条件に押さえつけるのはよくない」と理解を求めた。
鍾路区は新たに喫煙区域を設けるのが容易ではないという。現在喫煙所になっている公園も私有地の一部を無償で借り受けることでようやく設置できた。
専門家は喫煙権と受動喫煙の間の折衷案づくりを急ぐよう求めている。大邱(テグ)保健大学のシン・スンホ教授は「日本では路上喫煙が禁止され、区域別に喫煙区域が設けられた。これで喫煙権が保障され、都心がきれいになった」と述べた。
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