2024 年 10月 18日 (金)
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ソウルに集中豪雨500ミリ、気候危機が韓国に“警告”

8日午後、ソウル市江南区一帯の道路が冠水している©MONEYTODAY

韓国のソウルと仁川、京畿など中部地域に1日500ミリを超える記録的な豪雨が降り、人命と財産被害が増えている。環境問題の専門家は、温室効果ガスの増加による気候変動を根本的な原因と指摘している。画期的な温室効果ガス削減が実現しない限り、局地的な豪雨はもちろん、日照りと猛暑が繰り返される「極限気候」がさらに深刻化すると予測される。

◇「災害管理体系、原点から再検討」

中央災難安全対策本部によると、今回の豪雨による人命被害は9日午後3時現在、死亡8人、不明7人、けが9人となった。ソウルでは半地下住宅に住んでいた一家3人が浸水によって死亡したほか、住宅浸水で女性が、感電事故で区役所職員がそれぞれ死亡した。また下水道や河川の氾濫により、行方不明者が相次いだ。ソウルと仁川、京畿地域では230世帯で浸水被害が発生した。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は9日、関係機関による緊急点検会議を開き、人命被害の発生について「非常に残念だ。集中豪雨が数日間続くものと予想される。緊張感を持って総力で対応してほしい」と指示した。特に山崩れの脆弱地域や低地浸水憂慮地域を統制し、道路情報を国民に迅速に知らせ、混乱と不便を最小化するよう求めた。

今回の集中豪雨により、時間当たり降水量が観測史上最多を記録した。これについて、ユン大統領は「気候変動による異常気候に起因する」との判断を示したうえ「気候変動による異常気象が日常化されるという点を考慮し、現在の災害管理体系を原点から再検討しなければならない」と強調した。

9日午後、京畿道で発生した土砂崩れ©MONEYTODAY

◇西日本豪雨と似た状況

韓国・光州科学技術院(GIST)地球環境工学部のユン・ジンホ教授は「ソウル市の年平均降水量1500ミリのうち、20~30%に該当する降水量が一夜にして降った」と指摘し、「局地的なゲリラ豪雨の原因は複合的で、温室効果ガス増加による気候変動が最も大きな原因」とみる。

温室効果ガスによって地球の温度が上昇し、大気に流入する水蒸気が増える。大気が湿った状態で降水の条件が重なって、猛烈なゲリラ豪雨が降ったという。

ユン教授は、今回の集中豪雨が、日本で2018年に発生した「猛暑と洪水が複合的に襲った災害」に似ているとみる。「年平均降水量は増えないが、今回のように雨が降らず夏場の集中豪雨が多くなる極限気象は今後も増えるだろう」と予測している。

日本では2018年6月下旬~7月上旬、西日本を中心に記録的豪雨となり、岡山、広島、愛媛に水害が起きて災害関連死を含めて300人超が死亡した。

◇今後も洪水被害、多数予想

韓国基礎科学研究院(IBS)の気候物理研究団と米政府系研究機関の米大気研究大学機構(UCAR)の共同研究によると、温室効果ガスの排出が現状のまま続けば、約70年後の21世紀末、一部地域では日降水量800ミリ以上のゲリラ豪雨が発生すると予測される。地球の平均温度は産業化(19世紀後半)以前より1.1度上昇した。

これに対し、主要国は国際枠組みの「パリ協定」などの気候変動協約を通じて、2050年までに炭素排出量をゼロにし、地球平均温度上昇を産業革命前の2度未満に抑えることを約束した。

ただ、専門家はカーボンニュートラル目標のために全力疾走しても、極限気象は避けられないとみる。

気候モデリング専門家で、韓国科学技術院(KAIST)のキム・ヒョンジュン教授は「気候変動をシミュレーションしてみると、東アジア地域は今後、洪水による多数の被害が予想される。特に地球平均温度が1.5度上昇する前から増えるという予測結果が出た」と指摘。「100年に一度と言われる豪雨や猛暑の頻度がますます増えていることから、環境・災害対策を再整備する必要がある」と警告している。

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