ソウル市江南区(カンナムグ)の島山(トサン)大路一帯。週末の昼、閑散とした道路一帯に轟音が鳴り響いた。音の震源地はほかならぬスーパーカー。わずか1時間余りの間、フェラーリ、マセラティなど、普段なかなか見られない高級スポーツカーが5、6台も現れた。
江南の島山大路はいつの間にか「スーパーカーの聖地」になった。高級スポーツカーを運転する車の持ち主が自分たちの車を自慢するところとして有名になった。特に、鶴洞交差点から島山公園交差点の間の約500m区間が見どころだ。島山大路で何度もUターンしながら、ぐるぐる回るスポーツカーも多い。
歩道にはスーパーカーを見に来た人たちが立っていた。この日午後、20代の男性4人が車を見に来ていた。「カースポッター」と呼ばれる人たちだ。カースポッターとは、「車(car)」と「発見する(spot)」の合成語で、スーパーカーなどレアな車を探し回る趣味のことをいう。
島山大路をよく訪れるカースポッターの中には、車の持ち主と仲良くなる人もいる。
このように、島山大路がスーパーカーの集合地になったのは、さまざまな理由がある。
まず、江南地域が富裕層が住んでいるという象徴的な意味がある。加えて、高級自動車のショールームが並んでおり、周辺には高級なブランドショップが立ち並ぶ。交通量が少なく静かで、道路も整備されている。スーパーカーで走るのにうってつけの場所なのだ。
だが、カースポッターを見る近隣の商店主の視線は冷ややかだ。騒音公害とアクロバティックな疾走に不快感を覚えるという苦情が寄せられている。
近くの衣料品店の従業員は「騒音があまりにひどく、仕事中びっくりするほどだ。不快でたまらない」と訴えた。
一部では、このようにカースポットに熱狂する背景に「スーパーリッチ」の生活に対する憧れがあるとの分析も出ている。若い富裕層に対する同年代の若者たちの憧れが反映されているというのだ。
高麗大学社会学科のキム・ユンテ教授は「高級車が好きだという趣味かもしれないが、ある面では富が少数に集中し、スーパーリッチが登場した結果でもある」と分析した。
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