2025 年 5月 12日 (月)
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スマートフォンの画面に水滴がついても「完璧なタッチ」…韓国研究チームが「圧力センサー」開発

(上)タッチがうまくいかないスマートフォンの模式図(下)ナノギャップ圧力センサー=KAIST(c)KOREA WAVE

スマートフォンの画面に水滴が付着してもスムーズなタッチが可能なセンサーを、韓国科学技術院(KAIST)電気電子工学部のユン・ジュンボ教授の研究チームがこのほど開発した。

従来のスマートフォンのタッチシステムに主に使用される静電容量式圧力センサーは、構造が単純で耐久性に優れている。だが、水滴や電磁気干渉、曲面による歪みなどの外部要因によって誤作動が発生しやすいという弱点があった。

研究チームがこの原因を分析した結果、センサーの端で発生する電磁力「フリンジフィールド(Fringe Field)」が外部干渉に極めて脆弱であることが判明した。

そこで研究チームは、電極の間隔を数百ナノメートル(nm)レベルまで狭める実験を進め、その結果、センサーから発生するフリンジフィールドを数パーセント以下に抑えられることを確認した。これをもとに開発したのが「ナノギャップ圧力センサー」だ。

研究チームのヤン・ジェスン博士は「このセンサーは、圧力を加える物質に関係なく、純粋に圧力のみを感知する。曲げや電磁気干渉による影響をほとんど受けないことも検証済みだ」と説明する。

さらに研究チームは、このセンサーの特性を活用し、人工触覚システムの実現にも成功した。人間の皮膚には「メルケル盤」という圧力受容器があり、これによって圧力を感知する。これを模倣するには、外部干渉には反応せず、圧力にのみ反応するセンサー技術が必要となる。

ヤン博士は「電極の間隔を縮める方法で、この問題も解決できた。人間の皮膚では1平方センチメートルあたり約10個の受容器が存在する。今回開発したセンサーは12個のセンサーを搭載している。今後、このセンサーをスマートフォンの構造に適合させ、製造プロセスを洗練させたうえで、商用化を進める」と語った。

ユン・ジュンボ教授は「この技術は、ロボットの高精度触覚センサー、医療用ウェアラブルデバイス、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のインターフェースなど、さまざまな応用分野で革新的な変化をもたらす可能性がある」と期待を示した。

(c)KOREA WAVE

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