
韓国各地でストーキングや交際中の暴力による殺人事件が相次ぎ、女性の命が奪われるケースが続出している。こうした事態のなか、女性に対する暴力防止政策の“コントロールタワー”であるべき女性家族省が、長期にわたるトップ不在により、実効的な対応を果たせていないとの批判が強まっている。
女性家族省は2024年4月のチョン・ヨンシム氏退任以降、すでに16カ月間、トップが空席となっていたが、最近では次期女性家族相候補だったカン・ソヌ元国会議員も辞退し、再び“空白”状態に逆戻りした。
警察と女性家族省によると、7月末からわずか数日の間に、全国各地でストーキングや交際暴力による重大事件が相次いで発生。3人の女性が命を落とした。
7月26日には京畿道義王市で50代女性が職場でストーカーの男に殺害された。この女性は3回にわたってストーキングを通報していたが、検察は一時的な接近禁止命令を却下していたという。
同29日には大田市で、30代女性が元交際相手の20代男性に殺害された。被害女性は4回も警察に通報していたが、防止措置が取られることはなかった。
同31日にはソウル市九老区で、60代男性が同居していた50代女性を凶器で刺殺する事件が発生。さらに28日には蔚山市で、別れ話を告げられた30代男性が20代の元恋人に凶器で襲いかかり重傷を負わせた事件も起きている。
このように、女性を標的とする重大犯罪が各地で相次ぐなか、政策対応を担う女性家族省は指導者の不在により十分な機能を発揮できていない。
「韓国女性の電話」など33の女性団体で構成された市民団体「女性暴力への厳重対応を求める市民社会一同」は記者会見を開き、「2024年に親密関係にある男性パートナーによって殺害された、または殺害されかけた女性は少なくとも374人」と指摘し、「繰り返される女性殺害は、国家と制度の明白な失敗である」と強く非難した。
政治界からも早期のトップ任命を求める声が上がっている。正義党のクォン・ヨングク代表は「女性の安全に明確な意志を持った人材を早急に女性家族相に任命し、同省内に女性嫌悪犯罪専任部署を設置するなど、総力を挙げて対策に取り組むべきだ」と主張。「これ以上、女性が殺害される状況を放置してはならない」と警鐘を鳴らした。
女性家族相の人選については、共に民主党の元議員のクォン・インスク氏▽同党元最高委員のソ・ウンスク氏▽同党のナム・インスン議員▽祖国革新党のチョン・チュンセン議員――らが後任候補として取り沙汰されている。
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