2024 年 11月 24日 (日)
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「天然野菜ソース」に夢を広げ

Startup Story ~~ 成功のカギ

Bad Carrot ホ・ユニ代表

Bad Carrot ホ・ユニ代表©MONEY TODAY

「1カ月間、サラダを食べろと言われれば、食べますか。代わりに『野菜ソース』を好きな食べ物につけて食べれば、長く食べることができますよ」。これがホ・ユニ代表が言う「賢い菜食摂取法」だ。植物性をベースにした「おひとり様用」軽食の製造、販売を主力とする。

ならば、普通は緑や健康美を売り物にした名前やイメージを使うのに、会社名とロゴがかなり挑発的だ。「少し難しくて重かった菜食というテーマを、しらじらしくなく、楽しく解き放ちたいと思いました」。SF映画「スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)」で悪役たちが地球を守るように、大人も子供も、誰もが嫌がる悪い野菜たちが、私たちの体を守る――ホ代表はこんな意味を込めたという。

同社が開発した3種のソースは、小さな革命だった。山菜の香りと食感がそのまま滲み出る「山菜ニンニクパスタ」▽ピリッとするショウガとニンニク、長ネギを低温の植物性油で調理して食欲をそそる味にし、同時に材料の香りを最大限に引き立てる「ショウガアーリオ・オーリオ」▽大きななすとニンニクの茎、唐辛子による熱く辛い味が特徴の「K-ベゾアール」――。馴染みのある野菜が、パスタ、パン、ご飯に交わることのできる万能ソースに変身した。

このソースを塗ったキンパプ(韓国のり巻き)は、軽く一食を済ませようとする女性たちにピッタリだった。「山菜ニンニクパスタは原料含有量が計58%で、それぞれの原料が出す特色ある味と香りを楽しむことができます」。ホ代表はこう胸を張った。

山菜ニンニクパスタ©MONEY TODAY

「Bad Carrot」の製品は今年6月、あるクラウドファンディングのプラットフォームでファンディング率で1216%を達成して注目を集めた。この改革的なグルメが浮かび上がったのは、「ビーガン(Vegun)」(完全菜食主義者)が世界的にブームであるのに加え、最近は週に2~3回ほど1日1食にするなど柔軟に菜食する「フレキシタリアン」がトレンドをつかんだためだ。市場が確実に存在するということの証でもある。

ホ代表は、ビーガンのメニューについて、味についての満足度がとても低いという点が気になっていた。「今までのビーガン食品は大部分が単調なものでしたね。たった今、菜食に入門した人たちのために、刺激的な味と香りがなくてはならないと思いました」と話した。

ホ代表が山菜をソースの原料に使うようになったのは、実は「誤配送された山菜」がきっかけだった。

「一緒に創業した友人(キム・ジェウン共同代表)が、食品会社『paldo』で非対面式配送専門食堂『paldoお膳』のメニューを研究していた時でした。チャムナムルを注文したのに山菜5kgが間違えて配送されたそうです。すべて捨てるにはもったいないし、悩んだ末、山菜のコシのある食感をソースに取り入れてみたらどうか、というアイディアを突然、思いついたそうです。以後、山菜ペースト、山菜サラダなど多様なメニューを作りながら、今の製品が出ました」

ある時、「大豆ミート」と呼ばれる野菜や海藻類で作った代替肉に合うソースがない点も、この商品を企画するようになった理由の一つだ。「代替肉を好む人たちの大部分が菜食主義者のはずだから、ソースも代替肉のコンセプトと同じように、野菜が中心の素材であれば、よく合うのではないかと考えました」

最近、豆乳で作ったマヨネーズにショウガの香りを加えた「ジンジャーマヨネーズ」も新たに加えた。ビーガン・スロッピージョー(Sloppy Joes)ソース、K–ホットソースなど、新しい製品の販売も期待できる。

「Bad Carrot」は、ソースをポーチの形にして包装するプロセスを開発し、すべてのソースをスタウト・ポーチタイプで流通する予定だ。「家で直接、料理をして食べる『ホームクック』『お一人ご飯』のトレンドを考慮に入れ、一人分の小包にして、お一人さま世帯の市場を積極的に攻略するつもりです」

同時にカフェ、レストラン、給食業者などB2B(企業間取引)用に大容量の商品の製造や、ソースを利用した業種用の大型レシピも提供する計画だ。

ホ代表にとって今回は再起をかけた戦いだ。

2016年、フードトラック(ファストフードを提供するトラックの屋台)のブームの真っただ中にいた時、「ソウル・トラック」という名で創業し、米国式グリルサンドウィッチを販売した。口コミが広がり、国会内のフードコートで商売する機会も得た。ロッテモールをはじめ有名百貨店にも続々と入った。だが、新型コロナウイルスの感染拡大によってとん挫してしまった。

「私たちが作った天然野菜ソースがビーガンたちのソウルフードであり、さらに代表的なKフードとして定着する夢を、もう一度、見てみたいです。どうせやるなら、未来志向的ブランドというか、もっと大きく出てみたい。社会問題も解決し、収益も確保したいです」

ホ代表はこう熱く語った。

©MONEY TODAY

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