2026 年 2月 4日 (水)
ホームライフスタイルジムより病院へ?…韓国で急増する“痩せる注射”と揺らぐフィットネス業界

ジムより病院へ?…韓国で急増する“痩せる注射”と揺らぐフィットネス業界

ソウル市内のスポーツセンター(c)news1

新年の目標に「ダイエット」を掲げた韓国の40代男性Aさんは、ジムへの入会を迷った末、先月、肥満治療薬「マウンジャロ」の処方を受けた。時間や体力を使うより、薬で比較的手軽に体重を落とす道を選んだという。Aさんは「多少お金はかかっても、ジムに通う時間や労力を考えるとその方がいい。まだ1カ月だが、少しずつ効果を感じている」と話す。

大学生のノさん(21)も今年の目標は減量だ。昨年、体重が約15キロ増えたが、ジムに登録する前に「ウゴービ」を処方してもらった。「運動を始めるとなると準備に時間がかかるが、肥満治療薬は比較的簡単に処方を受けられるので、まず病院へ向かった」と語る。

ウゴービやマウンジャロに代表されるGLP-1受容体作動薬で体重を落とそうとする人が増え、年初にジムを利用する人が例年より減っているとの声が相次ぐ。景気低迷やランニングブームで業況が弱含む中、薬ブームが重なり、フィットネスクラブ業界は再び逆風に直面している。

ソウル市鍾路区のジムで働くトレーナーは「年初はパーソナルトレーニング(PT)だけでなく利用券の購入も増えるが、今年は体感で新規会員が約3割減った。『肥満治療薬を使いながら運動する』という会員はむしろ増えている」と明かす。 東大門区のジム運営者も「以前に比べてジム人気が落ちたのは事実。治療薬と比べてPTは高いと感じる人が増えた」と話す。

廃業も増加傾向だ。行政安全省の地方自治体認許可データによると、昨年に廃業したフィットネスクラブは553カ所で、過去最多だった2024年(567カ所)に次ぐ高水準となった。新型コロナによる営業制限が続いた2020年(431カ所)、2021年(403カ所)を上回る。

一方、肥満治療薬の処方は急増している。韓国国会の保健福祉委員会の資料によると、ウゴービやマウンジャロなどGLP-1受容体作動薬の処方点検件数は、昨年11月に16万8677件に達し、マウンジャロ発売直後の同年8月(6万6793件)から152.5%増えた。

もっとも専門家は、薬を使う場合でも運動の重要性はむしろ高まると指摘する。体重減少の過程で食事量が減ると、筋肉量も落ちやすく、放置すれば基礎代謝の低下やリバウンド、体力低下につながりかねないからだ。

ウゴービを3カ月使用し、運動なしで10キロ減量した20代男性は、最近では減量前と3キロしか差がないという。「一気に体重が落ちたが、結局元に戻った」と振り返る。

江北サムスン病院のカン・ジェホン家庭医学科教授(前・大韓肥満学会理事長)は「肥満治療薬自体が悪いわけではないが、使用中も食生活の改善と運動を必ず並行すべきだ」と強調する。「運動量や食事内容を変えず、薬で摂取量だけ減らすと、貧血やサルコペニア(筋肉減少症)を招く恐れがある」と警鐘を鳴らした。

(c)news1

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