
世界的に生成AI(生成型人工知能)ブームが広がる中、AI半導体を巡る覇権争いが熾烈さを増している。GPU(画像処理装置)でAI市場をリードしてきた米エヌビディア(NVIDIA)に対抗し、米グーグルは自社開発のTPU(Tensor Processing Unit)を活用した高性能AIモデルで追撃に出た。
こうした中、韓国は低消費電力・高効率のNPU(Neural Processing Unit)に特化した開発戦略で差別化を図っている。
業界関係者によれば、エヌビディアは最近、AI推論チップの設計に強みを持つ米スタートアップ「Groq(グロック)」と200億ドル規模のライセンス契約を締結した。実質的には買収に近いパートナーシップと見られており、AI推論市場での主導権確保が狙いとみられる。
グロックが開発したLPU(Language Processing Unit)は、大規模言語モデル(LLM)に特化したAIチップで、従来のGPUより約10倍高速でありながら、消費電力は1/10に抑えられるとされている。
グーグルも昨年11月に最新AIモデル「Gemini 3」を発表。第7世代TPU「アイアンウッド(Ironwood)」を採用し、推論性能を大幅に向上させた。
Geminiは各種ベンチマークでOpenAIのChatGPT-5.1を上回る性能を示し、GPU中心の市場に衝撃を与えた。TPUはAI処理に特化しており、特定の推論タスクではGPUに比べて約35%のコスト削減が可能とされる。
AIチップの確保は、韓国のAI産業全体の成長と直結する。韓国政府はエヌビディアからGPUの大量調達を進めつつも、低電力・低コストなNPUの国産化を推進。AIサービスの社会実装を支える「インフラ自立」を目指している。
市場調査会社オムディア(Omdia)によると、2030年にはAI推論用半導体市場が1430億ドル規模に成長すると見込まれる。電力・運用コストの高いGPUに代わり、高効率なNPUの需要が急増すると予測される。
現在、韓国で開発中の国産NPUはまだ初期段階にあるが、政府は商用レベルまでの高機能化を支援。AIモデルとの連携を進めるとともに、将来的にはロボットやIoT、モビリティなど物理世界とつながる「フィジカルAI」向けの超低電力チップ開発に注力していく方針だ。
韓国科学技術情報通信省関係者は「生成AIサービスはもはやGPUだけでは対応しきれない。だからこそNPUやLPUなど多様なAIチップ市場が分化し始めている。今後は用途ごとの最適化モデルやチップが続々と登場することになるだろう」と見通している。
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