
韓国の純国産企業が手掛けたにもかかわらず、国内よりも海外でより名を馳せているビューティーブランドがある。グローバル市場ではすでに評価を受けており、今では逆に韓国市場での存在感を高めつつある「ザ・ファウンダーズ(The Founders)」だ。化粧品ブランド「アヌア」を立ち上げたザ・ファウンダーズは、最近のK-ビューティーブームの中で最も急成長を遂げた企業の一つに挙げられている。2024年の売り上げは前年度比で約300%成長し、全体の90%以上が北米を含む海外市場から発生した。
このような急成長の背景には「人」に対する経営陣の視点がある。採用は企業の成長を加速させ、優秀な人材の密度がビジネスの完成度を左右するという信念によるものだ。ザ・ファウンダーズはいま、どのような人材を求め、その基準は何なのか。ソウル市江南区のザ・ファウンダーズ本社で、ピープル室のキム・ソン室長に、同社が考える人材像と採用哲学について話を聞いた。
◇HRを前面に押し出す組織…「採用はすなわち事業のスピード」
ザ・ファウンダーズはスキンケアブランド「アヌア」、ペット用品「プロジェクト21」、ドクターズヘアケア「Formlabs」を運営し、世界160カ国以上に進出している。特に「アヌア」は2024年にAmazonトップブランドに選ばれ、同年の第1・第2・第3四半期連続で日本のQoo10メガ割総合売り上げ1位、Qoo10化粧水部門でも1位を記録した。
キム室長がザ・ファウンダーズに合流したのは2024年6月。当時の社員数は約150人、ピープル室は7~8人程度だった。それから1年が経ち、現在の人員は全体で270人を超え、ピープルチームの人員もほぼ倍増した。それでも会社の成長スピードに追いつくにはまだ不足しているという評価だ。ザ・ファウンダーズは今年、経験者採用を拡大する。
「今も採用は事業のボトルネックになっている。だからピープルチームは管理組織ではなく、ビジネス解決のための先行組織として動いている。単なる採用や組織整備ではなく、各チームが成長するためのフロントの役割を担っている」
キム室長はこう強調した。
ザ・ファウンダーズは最近、HRBP(HRビジネスパートナー)の概念を導入し、組織と人材の橋渡し役も強化している。まだ専任のHRBPが本格的に配置されているわけではないが、キム室長自身が一部の事業部と密に連携して仕事を進め、その必要性を実感している。
「急速に成長する企業ほどHRBPの役割は重要になる。実際の業務に深く関与し、問題を共に解決する人事チームが求められている時期だ」

◇目標志向と問題解決力、そして“WHY”を持つ人
ザ・ファウンダーズが求める人材像は明確だ。キム室長が挙げたのは「目的志向的で問題解決を楽しめる人」。単に華やかな経歴を持つ人よりも、なぜこの仕事をするのか(WHY)を説明でき、その理由を軸に働ける人を好むという。現在、最も急速に成長しているグローバル志向のスタートアップの舞台に立つ準備ができている人を探しているというわけだ。
「経験が豊富であることはもちろん長所だが、その経験が本人の実質的な成果なのか、チームの一部として関わったものなのかを見極めることが重要だ。尖ったエッジを持つ人がザ・ファウンダーズとよく合うと思う」
キム室長はこう強調した。
こうした基準は面接の過程にもそのまま表れる。単に態度や人間性を評価するのではなく、実際にどんな問題を解決し、どのようにアプローチしたのかを最後まで確認しようとするスタイルだ。
キム室長は次のような見解を語る。
「単に有名企業出身だからという理由で採用することはない。どの時期に、どのような役割を担い、その過程でどんな成果を上げたのかを立体的に見る。自身の成長を重視する人なら、ここで成果も共に経験できる。結果が出る環境で働きつつ、キャリアの証拠を残すことができる。ただ成果だけを求める人はこの組織には合わない。困難な中でも共に踏ん張り、やり抜く意志が必要だ」

◇顧客への執着とデータに基づくアプローチ…スタートアップとビューティー業界の交差点
キム室長は化粧品業界出身ではない。それゆえ、The Foundersについて「スタートアップと化粧品業界の文法が絶妙に混ざった会社」だとみる。
迅速な意思決定、データに基づく分析、問題解決中心の文化はIT企業に似ている。一方で、製造を基盤とする化粧品業界特有の品質への集中力と実行力も同時に存在すると述べた。
「私たちは顧客に執着する組織だ。単に『顧客がこう言っているらしい』というレベルではなく、実際の顧客インタビューやデータに基づいて意思決定がなされる。人事業務においても、内部顧客であるメンバーたちのフィードバックを随時反映している」
キム室長はこう語った。
The Foundersの文化は、上位のリーダーに依存するのではなく、それぞれが主体的に仕事を進める雰囲気がある。休暇の取得やプロジェクトの実行においても、自律性と責任が共存している。
「不要な上位リーダー依存がない」というフィードバックをよく受ける。仕事を進めることだけに集中し、それ以外のことには最小限しか介入しない。迅速かつ集中して働く文化がある――キム室長はこんな自信を見せた。
また、The Foundersの特徴として集中力も挙げられる。特定の業務がうまく機能した事例(ベストプラクティス)が見つかると、組織はその手法を集中して推進する構造となっている。リクルーティング、マーケティング、製品運営など、すべての部門で一貫した戦略が適用されている。
さらに、社内での情報共有文化も活性化されている。新入社員向けのオープンセッションはもちろん、SlackやF2F(Founders to Founders)セッションなどを通じて、組織内の成功体験を迅速に広めることに焦点を当てている。

◇成長と達成の舞台
キム室長はThe Foundersを「仕事が進む組織」と表現している。急速に成長する組織であるだけに、ルーチン業務に慣れた人よりも、新しい分野を自ら切り開いていく姿勢が求められる。
「うちの会社は、仕事を成立させる人々で構成されている。成長を重視する人にとっては最高の環境だが、その分、簡単ではない舞台でもある」
この会社が最近注目しているのは「人材の密度」だ。代表が採用に直接関与し、主要な人材の獲得には1~2年をかけてアプローチする。リーダークラスを採用する際も、単に経歴を見るのではなく、成長のフェーズを経験してきた人であるかを重視しているという。
福利厚生制度も単なる費用支援を超えている。「健康」と「集中」がキーワードとして明確だ。代表的な例が朝食の提供で、サラダ、サンドイッチ、焼き卵など多様な健康食が提供され、社員のアンケートによって構成されている。
年間100万ウォンの運動費、心理カウンセリング支援などもすべて「健康的な仕事と生活」のための施策だ。「代表をはじめ、社員の精神的・肉体的健康を本気で気にかけている。これは単なる福利厚生を超えて、社員の体力と持続可能性を会社が共に管理している」
The Foundersは2025年中に100人以上の採用を予定している。しかし、重要なのは人数よりも「密度」だ。
「私たちは急速かつグローバルに成長する会社だ。この環境に乗りたい人には最高の選択になり得る。しかし、達成だけを望み、プロセスに耐えたくない人には合わない。私たちは成長と達成を共に経験したい人を待っている」
キム室長はこう語った。
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