現場ルポ
韓国で若い世代を中心に麻薬が拡散し、クラブが主要な投薬・取引場所として監視されている。クラブと風俗店の密集地域からの申告が多いうえ、クラブで頻繁に麻薬が取引されているという認識のためだ。問題はクラブの特性上、麻薬事犯の検挙が容易ではないという点だ。
ソウル瑞草警察署特別取り締まり班は今月7日午後10時から翌日午前12時40分まで、江南駅近隣のクラブ4カ所の取り締まりに乗り出した。情報に基づく抜き打ちでの取り締まりだったが、摘発件数は「0」だった。数回にわたり麻薬関連112通報が受け付けられたが、取引状況はつかめなかった。
ソウル警察庁によると、この3年間、クラブと風俗店密集地域の麻薬関連申告率は、申告全体の43%(1642件)を占めている。ソウルの主要クラブ・風俗店密集地域の麻薬類112申告件数は2019年785件→2020年1259件→2021年1771件と集計される。
申告件数が急速に増えているが、クラブで麻薬事犯が検挙された事例は瑞草警察署の事例で確認されるように、多くない。最高検察庁が発刊した麻薬類犯罪白書によると、昨年検挙された麻薬事犯のうち、風俗店で摘発された事例は2.3%に過ぎない。自宅(27.8%)で投薬して検挙された人が最も多く、路上(14.5%)、宿泊施設(11.4%)が後に続いた。
クラブでの麻薬投薬の摘発が難しいのは、クラブの閉鎖的な特性のためだ。クラブで麻薬投薬が疑われても、当事者の同意や令状なしに、警察は検査を強制することはできない。申告が殺到しても、現場でそれに対応するには人員が不足しているという状況にもある。
ソウルのある警察官は「最近、メディアに麻薬関連事件が多く出ている。街で酒を飲んでふらつく人を見ただけで『麻薬だ』と申告するような例も多くある」と嘆く。別の警察官も「心証があっても、令状がなければ、当事者の同意を得ない限り、検査ができない」と訴える。
ライバル会社を牽制するための申告も捜査上の困難に挙げられる。さらに別の警察官は「申告があっても、額面通りには受け止めず、まず信憑性を問う」という。
クラブの店主やMD(クラブで客を誘致する営業職員)と常連客の間で密かに麻薬が取り引きされる場合が多い、という点も検挙にはネックとなる。閉鎖的なグループでの取引であり、情報収集・取り締まりが難しい。
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