
キムチの中の有益な乳酸菌が、発熱などの発酵環境でも生き残る秘密が明らかになった。
韓国科学技術情報通信省傘下「世界キムチ研究所」は16日、キムチ機能性研究団の研究チーム(イ・セヒ博士)が独自に開発したキムチ種菌3種(WiKim32、WiKim33、WiKim0121)が、キムチの発酵環境で生存し、優占菌として定着する生物学的メカニズムを世界で初めて解明したと発表した。
研究チームは、発酵初期段階において種菌が競合する乳酸菌を押しのけて生態系を先取りする過程を、ゲノム、トランスクリプトーム、メタボロームなどマルチオミクス(Multi-omics)に基づく統合分析で実証した。イ・セヒ博士は「高機能性種菌の選抜と評価において学術的基準を確立するうえで意味のある進展を遂げた」と述べた。
研究の結果、WiKim種菌はブドウ糖や果糖だけでなく、ラフィノース、ガラクトース、ラクトースなど多様な炭水化物を効率的に代謝できる遺伝的特異性を備えており、発酵初期に迅速なエネルギー(ATP)生成により生存競争で優位を確保することが分かった。
低温や酸性といった発酵環境のストレス条件でも、特異な遺伝子発現によって優れた生存力と集団形成能力を発揮するようすがうかがえる。これはキムチ発酵全過程において品質の均一性と安全性を確保するうえで核心的な役割を果たす可能性を示唆している。
イ・セヒ博士は「このため、キムチの輸出など長期間の輸送においても、過酷な発酵環境で有益な乳酸菌が生き残る。キムチ産業において種菌の選定と活用過程で、客観性と信頼性を大きく向上させる科学的基盤が整った」と指摘した。
実際にWiKim種菌(WiKim0121)は、農林畜産食品省が主管する「キムチ種菌普及事業」で、全国94カ所のキムチ製造業者に合計28.8トンが供給され、現在は国内流通はもちろん輸出用キムチの生産現場でも実際に活用されている。
パク・ヘウン先端融合研究本部長は「優占遺伝子の存在可否を早期に判別できる科学的基準を提示したという点で重要な進展。今後もキムチ発酵の原理を継続的に解明し、キムチ産業の高度化とグローバル市場進出をけん引できる研究開発を続けていく」と述べた。
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