2025 年 10月 26日 (日)
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カンボジア・韓国、そして中国の三角関係が試される時…国境を越えた犯罪にどう向き合うか [韓国記者コラム]

2025年10月15日、カンボジアの空港に掲げられた国旗(c)news1

カンボジアの首都プノンペンに、「Xi Jinping Boulevard(習近平通り)」という名の道路がある。韓国人を標的にした就職詐欺・監禁事件を取材するため現地入りした記者が、道端の標識に記されたその名を目にし、現地コーディネーターに尋ねたところ、2024年5月に中国の習近平国家主席の名を冠して作られた道路だという。

カンボジアのフン・マネット首相は、習主席が自国の発展に寄与したことへの感謝を込めて命名したと述べ、「両国関係は史上最高の時期を迎えている」と評価した。これほど象徴的な命名からも、カンボジアと中国の蜜月関係がうかがえる。

中国の巨大経済圏構想「一帯一路」により、2010年代からカンボジアへのインフラ投資が急増した。道路、港湾、空港など主要インフラに中国資本が流入し、カンボジア政府はそれを積極的に受け入れてきた。

しかし問題は、金だけでなく「犯罪」も国境を越えてやって来たという点にある。2017年、習近平政権が中国国内で大規模な反腐敗運動を展開したことをきっかけに、カジノを拠点とする違法賭博組織が東南アジアへと逃避。その中でもカンボジアが主な受け皿となったとされている。

それ以降、韓国人を狙った就職詐欺や監禁、暴行といった事件の報告が激増した。とりわけ、現地で大学生が犯罪組織に拘束され暴行されて死亡した事件が公になり、韓国世論は騒然となった。

韓国外務省は第2次官を団長とする合同対応チームを急派し、国会の外交統一委員会は現地で国政監査をするなど、政府を挙げての対応が進められている。カンボジア当局と韓国側が共同で設けたタスクフォース(TF)は、事件発生時の即時通報体制と迅速対応を軸に動いている。

だが、プノンペンの中心部に習主席の名を冠する通りがあるほど、中国とカンボジアの関係が強固であることを踏まえれば、韓国政府は今回の事態を中国も含めた「三国の共通課題」として捉え直す必要がある。

とりわけ、現地の犯罪組織の背後にあるとされる中国系の「プリンスグループ」などの資金源までを追跡・摘発することが、再発防止の鍵を握る。オンライン詐欺や監禁の被害者には、中国人も多く含まれており、中国政府が協力に動く余地もある。

「中国が元凶だ」と責任を一方的に押しつけるのではなく、韓国・カンボジア・中国の3カ国が共通の問題として認識し、協力して対処する外交的アプローチが今こそ求められている。

今回の事態の解決主体は、韓国とカンボジア、そして中国の3カ国である。【news1 キム・ジョンフン記者】

(c)news1

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