ラップ歌手PSY(サイ)以外のソロ歌手で、最も高い順位に入った例は、「防弾少年団(BTS)」メンバーのジョングクが昨年、米シンガーソングライター兼プロデューサーのチャーリー・プースと共演した「レフトアンドライト(Left and Right)」。22位だった。
2012年、サイの「江南(カンナム)スタイル」は世界的なブームを巻き起こし、グローバルヒット曲として位置づけられた。
だが「HOT100」では2位にとどまった。
シンドロームというほど大きな人気を博したものの、米ポップバンド「マルーンファイブ」の「ワンモアナイト」に抜かれ、7週間でトップの座を降りた。
ジミンの「ライククレイジー(Like Crazy)」の1位獲得で、「11年ぶりにサイの恨みを晴らしてくれた」という声も上がっている。
◇本人の歌唱力とパフォーマンス
ジミンの今回の1位になった背景には、BTSで積み上げた認知度とともに、曲の魅力をしっかり生かしたジミン本人の歌唱力とパフォーマンスがある。シンセポップ(synthpop、1970年代後半に登場し、世界的に流行した音楽のスタイル。シンセサイザーやシーケンサーなどの電子音を大胆に使った曲が多い)ジャンルの曲で、北米のリスナーに馴染みがあり、ジミンの切ない歌声とパフォーマンスが曲によく溶け込んだということだ。
曲作りにあたっては、ジミンの仲間であるBTSメンバーのRMと、BTSプロデューサーのPdogg(ピドッグ)、そして韓国語歌では初の「HOT100」1位を占めたBTSの「ライフゴーズオン(Life Goes On)」などを手がけた米シンガーソングライター、ブラシ(BLVSH)らが参加している。
もちろん北米市場内のジミンに対する強力なファンダム(ファン集団)「ARMY」の影響もある。
「ライククレイジー」は、ラジオ・エアプレイ点数は比較的低かったが、音源販売量では圧倒的だった。
順位集計期間である先月24~30日、ダウンロードとCDシングルを合わせて25万4000枚に相当する販売量だった。ストリーミングは1000万回を記録。ラジオの聴取者は6万4000人だ。
「ライククレイジー」販売量は、米ポップスターのテイラー・スウィフトの「アンチヒーロー(Anti-Hero)」が32万8000枚程度(2022年11月19日)が売れて以来の高い数字だ。
何よりもジミンが評価されるのは、ビルボードが「HOT100」の集計方法が変更された後で1位を獲得した点だ。1人当たりのダウンロード有効数字を4件から1件に減らし、ファンダムがチャートに与える影響力を小さくしていたからだ。
(つづく)
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