
米国のオープンAIやマイクロソフト(MS)をはじめとする世界のビッグテック5社が2025年の第1四半期、相次いで韓国を訪問し、韓国の人工知能(AI)市場に対する戦略的関心の高さを示した。韓国のAI生態系は、優れたインフラと、高い技術受容性により、今や“グローバルAI戦略の要衝”として注目されている。
今年に入ってから3月末までの間に、オープンAI、MS、アンソロピック(Anthropic)、コヒア(Cohere)、スノーフレーク(Snowflake)の5社が韓国を訪問し、現地企業と次々と戦略的連携を発表した。
オープンAIは2月、韓国で初となる開発者ワークショップ「ビルダーラボ」を開催し、カカオと戦略的提携を結んだ。サム・アルトマンCEOは「共同でAI商品を開発中」と明らかにし、今後の技術協力に期待が集まっている。
3月には、企業向けAIソリューションを提供するコヒアのエイダン・ゴメスCEOがLG CNS主催のセミナーに登壇し、韓国企業に特化したエージェンティックAIサービスの共同開発を発表した。
さらに、アンソロピックは3月19日、韓国スタートアップ「コックスウェーブ」と「コリア・ビルダー・サミット」を共催。マイク・クリーガーCPOらが参加し、リーガルテック企業「ローアンドカンパニー」との協力事例を紹介した。
スノーフレークは3月25日、ソウルで年次カンファレンス「データ・フォー・ブレックファスト」を開催。昨年12月には韓国の動画認識AI企業「トゥエルブラボ(Twelve Labs)」への戦略投資も実施し、韓国企業との連携を強化している。
そして、MSのサティア・ナデラCEOは翌26日にソウルで開催された「MS AIツアー・イン・ソウル」に参加し、KT、LGなどとの協業事例を紹介した。MSは現在、国内スタートアップのリュートンテクノロジーズ、アップステージ、ライナーなどと協力を進めている。
チームクッキーAIリサーチラボの報告書は、韓国の魅力について「優れたデジタルインフラ、高いAI技術の受容性、そして質の高い技術人材が、グローバル企業を惹きつける重要な要素」と指摘している。
実際、韓国は人口あたりのAI特許出願数で世界1位(17.3件)を記録しており、LG AI研究院が開発した「EXAONE 3.5」は、韓国初の“主要国別AIモデル”に選定された。
報告書はさらに「グローバルビッグテックと韓国のAI生態系の交流が活発になることで、韓国は単なるAI技術の受け手ではなく、特定分野における“リーダー国家”としての地位を確立する機会となる」と結んだ。
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