2025 年 10月 27日 (月)
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エストニアが突きつけた問い…韓国・気候エネルギー環境省、真の試練の時 [韓国記者コラム]

Purtse Hybrid Park(c)news1

エストニアは小国である。国土面積は韓国慶尚道よりやや大きく、人口は光州より少ない。しかし、その小ささゆえに国家運営は柔軟で機動的だ。気候変動への対応政策も例外ではなかった。

エストニア政府は「気候省」を新設し、エネルギー・交通・環境政策を一体化させた。風力、水素、スマートグリッドなどを総合的に推進し、技術と制度を融合させ、市民参加とデータの透明性を基盤に、国家全体がまるで「気候実験室」のように機能している。ロシアのウクライナ侵攻の影響で再生エネルギー100%目標の達成は一時中断を余儀なくされたが、「エネルギー転換」の流れ自体は維持されている。

現地で見たエストニアの取り組みは、単なる新技術導入にとどまらない。ティーズ・バレー地域では風力と太陽光を組み合わせたハイブリッド電力網が稼働しており、タリン工科大学では韓国の浦項工科大学(POSTECH)や韓国科学技術院(KAIST)にも似た研究環境のもと、スタートアップと政府が協働して水素技術の実証研究を進め、「気候ユニコーン企業」を育てている。

ただ、表面的な制度をまねるだけでは不十分だ。エストニアをはじめ北欧諸国は、地理的条件や資源の余裕という強みを持つ。旧ソ連時代に天然ガスを安定供給されてきたエストニアや、化石燃料を輸出してきたノルウェー・デンマークなどとは、資源を持たない韓国の立地条件は大きく異なる。

北欧諸国が豊富な資源と広大な土地を背景に実験を重ねてきたのに対し、韓国は狭い国土、高い産業需要、不利な地理的条件という三重苦を抱える。それでも、北欧諸国の一部は最終的に再生エネルギー100%の理想を掲げつつも、小型モジュール原子炉(SMR)などの原子力利用を併用する選択をした。理想と現実のギャップを認め、安定供給との両立を模索した結果だ。

韓国もまた、再生エネルギーの拡大を主軸としながらも、他のエネルギー源の可能性を閉ざさない柔軟な政策が求められる。もちろん、原子力発電だけが答えではない。

キム・ソンファン(金星煥)気候エネルギー環境相が率いる「気候エネルギー環境省」発足は、あくまで出発点にすぎない。エストニアが示したのは「小国の成功談」ではなく、「実験と制度をどう結びつけるか」というプロセスだった。政策の連続性、データと市場の開放、研究支援の仕組みが伴わなければ、イ・ジェミョン(李在明)政権による「環境省拡大実験」は、単なる大統領公約の実現に終わりかねない。

韓国の新設「気候エネルギー環境省」が真に機能するかどうか――その試練の時が、いま始まっている。【news1 ファン・ドクヒョン気候環境専門記者】

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