2024 年 11月 25日 (月)
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[インタビュー] キム・テヒョン演出「アーモンド」…「感情のない子、でも響きがある」(中)

3月17日、インタビューに応じるキム・テヒョン©NEWSIS

小説で想像した姿が舞台で繰り広げられる。原作のストーリー展開をそのまま生かそうと、脚色を増やさず、一部のシーンは圧縮・省略したり、拡張したりした。特に、感情を抱かないキャラクターの表現は、最も興味深く、同時に挑戦的な課題だった。

通常、主人公とは、感情をドラマチックに表現するようになるものだが、今回はそれをむしろ隠さなければならなかった。歌をうたう際にも、発声やボーカルトーンを調節して「淡々とした」印象を抱かせるようにした。

「いろいろな実験を試みました。これまでのミュージカルの“文法”とは少し異なる表現をしなければならず、特に作曲家は大変だったようです。(感情の)変化があり過ぎてもなさ過ぎても、うまくやりこなせないので、調節は簡単ではありませんでした」
「小説を読みながら想像したキャラクターを、実際に目の前で見ることになるのですが、思っていたのとは違うこともあり得ます。キャラクターを観察するという点では興味深いです」

主人公のユンジェ役はドラマ「賢い医師生活」「気象庁の人々」などに出演したムン・テユが演じる。2019年の制作過程でショーケースから参加してきたホン・スンアンも出演する。演出家のキム・テヒョンは「基本的に演技を信頼しており、何もしていない時に多くの感情がにじみ出るという、良い俳優の顔を持っている」と話した。

「練習の時に胸が熱くなる場面がたくさんありますが、我慢しています。見ていると、感情にタッチするような感じがします。私は他の公演でも常に観客が感情を極めることができるようにしなければならないと言うんです。俳優たちが舞台で感情をすべて表現してしまえば、観客側が感じて、考える、という隙間がなくなってしまうんです。表現するな、というのではなく、観客が心から納得するまで待たなければなりません」

キム・テヒョンは、この作品が「SF小説」に似ていると思った、という。

「SF小説では、ロボットやサイボーグが人間に似た存在でありながら、感情や苦痛、愛を感じられないなど、何か一つが欠乏している。そのことにより、人間とは何かを観察させるのです。この小説も同じです。感情を抱かないキャラクターに、人生をのぞかせ、感情とは何かを絶えず考えさせられるということです」

「結局、共感と愛についての話なんです。青少年期だけでなく、私たちは誰かと完全な愛をやり取りしてこそ、社会的に成長し、生きていけるという話をしています。ユンジェは、お母さんとおばあさんの愛で成長し、2人がいなくなってからは、周囲の別の愛で少しずつ交流し、コミュニケーションを取る方法を身につけます」

©NEWSIS

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