K-POPの世界的ブームが続くなかでも、イスラム教の厳格な習慣・戒律を重視する社会では依然、ガールズグループなどの活動に制限が加えられる実態が浮き彫りになっている。その一例が、韓国のアイドルグループ「BLACKPINK(ブラックピンク)」のサウジアラビアでのライブだった。
BLACKPINKコンサートは1月20日、首都リヤドで開かれた。チケットが発売1時間で売り切れたため、会場をより大きな場所に電撃的に変更し、追加チケットが販売されるほど話題を呼んだ。
リアドでのライブでは、メンバーらは肌の露出を最小限に抑えた服装で出演した。特に、下半身の服装に気を使い、素肌を見せないなど、現地文化を考慮したコーディネートだったという。
BLACKPINKのコンサートは大きな話題になったものの、現地メディアはライブの写真・動画を公開しなかった。
中東の事情に詳しいトルコ出身の記者は「短いスカートなどで公演をしたため(視聴者の)反発を買う恐れがあり、全く報道されなかった」「反発の矛先が、公演を許可したサウジ政府に向かうという懸念もあった」などの見方を伝えている。
◇「K-POPがイスラムの伝統と価値を損ねる」
サウジアラビアの国政運営を担うムハンマド皇太子兼首相は、女性の運転やスポーツイベント参加を許容するなど、“改革君主”として知られる。BLACKPINKや人気グループ「BTS(防弾少年団)」などK-POPグループらの現地公演を受け入れるなど、改革・開放を加速させているものの、保守的なイスラム社会である現地の雰囲気は容易には変わらないようだ。
BLACKPINKに対しては、マレーシアでの公演についても、昨年末から現地イスラム強硬派から反対の声を出た。一部のイスラム指導者と政治家らが「K-POPがイスラムの伝統と価値を損ねる」として、コンサートの中止を主張した。「BLACKPINKのコンサート会場にイスラム教信者を立ち入り禁止にすべきだ」とも要求したという。
BLACKPINKのサウジ公演について、芸能事務所関係者は「保守的なサウジで初の女性グループコンサートという歴史的なイベントを開いて注目され、大きな成功を収めたと評価している。ただ、現地の一部では否定的に見る人々が存在するという話も聞いている。最初のページを開いたということに意味がある」と意義付けた。
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