2025 年 11月 28日 (金)
ホーム社会アジアで排出の水銀は「大気経由」で太平洋に流れマグロに蓄積する…韓国の研究チームなどがその経路解明

アジアで排出の水銀は「大気経由」で太平洋に流れマグロに蓄積する…韓国の研究チームなどがその経路解明

アジア・太平洋地域のプランクトンおよび水銀排出源、水銀安定同位体の分布比率を示した地図=POSTECH(c)KOREA WAVE

韓国・浦項工科大学(POSTECH)環境工学部のクォン・セユン教授の研究チームが、韓国海洋科学技術院(KIOST)のカン・ドンジン博士の研究チームやウッズホール海洋研究所(WHOI)のローラ・モッタ博士の研究チームと共同で、アジアで排出された水銀が太平洋へ移動し、海洋生態系に蓄積される経路を解明した。POSTECHが11月26日発表した。

韓国メガ・ニュース(MEGA News)のパク・ヒボム記者の取材によると、重金属である水銀は石炭の燃焼やゴミの焼却の際に大気中に放出され、数千キロメートルにわたって拡散する。このようにして大気中に拡散した水銀は海に落ち、プランクトンなどの海洋の食物連鎖を通じて、マグロなどの大型魚類に蓄積される。

クォン・セユン教授は「水銀は海中で『メチル水銀』という毒性物質に変化し、食物連鎖を通じて蓄積される。最終的にはマグロのような人間がよく食べる大型魚に高濃度で蓄積される」と語った。

研究チームは、KIOSTの調査船「イサブ号」を活用し、対馬海峡からベンガル湾に至る西太平洋海域(南北軸)とフィリピン海からハワイ近海に至る中央太平洋(東西軸)でプランクトンを採取し、水銀の安定同位体を分析した。

人工的な水銀排出源から海洋へ至る挙動メカニズム=POSTECH(c)KOREA WAVE

水銀の安定同位体は、排出源ごとに特有の「指紋」を持っており、研究チームはこの科学的特性を用いて、プランクトン内の水銀がどこから来たのかを追跡した。

クォン・セユン教授は「研究の結果、アジアの工場やゴミ焼却場などから排出された水銀が太平洋に流入し、生物に蓄積されているという事実が数値で確認された」としたうえ「海に流入する水銀の経路を分析した結果、陸地に近い海域でも少なくとも60%以上が河川ではなく大気を通じて入ってきていることを初めて明らかにした」と述べた。

これは、水銀に関する水俣条約で強調されている大気排出削減政策の妥当性を科学的に裏付けるものだ。

クォン・セユン教授は「科学技術界の水銀研究は70年以上の歴史があるが、アジアの産業活動から排出された水銀が太平洋の魚類にどのような影響を与えるかを具体的に明らかにできていなかった。水銀の『出所』を定量的に明らかにし、世界の公衆衛生政策の策定に活用できる基礎データを提供したという点で大きな意味がある」と強調した。

共同研究者のWHOIのローラ・モッタ博士は「プランクトンは海洋食物連鎖の最も基礎となる生物であり、それを通じて生物体に吸収される水銀の量や経路を直接把握できる。海洋生態系と人類のための国際的な政策に大きく貢献することが期待される」と述べた。

(c)KOREA WAVE

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