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韓国の航空各社がモバイルバッテリーの機内持ち込み基準を、一般的に使用されていない単位で案内しており、乗客の混乱が続いている。理論的には航空会社が提示する「ワット時(Wh)」が正確なバッテリー容量の基準だが、乗客は「ミリアンペア時(mAh)」に馴染んでいるため、わかりづらいというのが実情だ。
「自分のモバイルバッテリーが機内に持ち込めるのか」を尋ねる乗客が後を絶たず、航空会社のスタッフも換算に慣れておらず対応に苦労しているという。
最近機内で火災が発生したエアプサンをはじめ、大手航空会社の大韓航空、アシアナ航空、済州(チェジュ)航空などは、機内持ち込み可能なモバイルバッテリーの容量をWh単位で案内している。
各社の規定は▽100Wh以下のバッテリーは1人5個まで持ち込み可▽100Wh超~160Wh以下のバッテリーは航空会社の承認を得て1人2個まで可▽160Whを超えるバッテリーは持ち込み禁止▽すべてのモバイルバッテリーは受託手荷物(預け荷物)としては禁止――などだ。
この規定は、韓国国土交通省が2018年に策定したガイドラインに基づいている。当時、電子機器用のリチウムバッテリーの利用が急増したことを受け、航空機火災のリスクを防ぐため160Whを超えるバッテリーの機内持ち込みおよび受託手荷物での輸送を禁止した。
Whは電圧(V)と電流量(Ah)を考慮した数値で、電流量のみを示すmAhよりも正確にバッテリー容量を表す。しかし、一般的なモバイルバッテリーは「1万mAh」「1万5000mAh」「3万mAh」などmAh単位で表示されているため、乗客にはWhが馴染みがない。
来月、ベトナム・ニャチャンに出国予定のイ・ヨンジュさん(27)は「スマートフォンを充電する1万mAhのモバイルバッテリーを持って行こうと思い、航空会社の規定を調べたが、Wh表記しかなくわかりにくかった。インターネットで検索して、1万mAhが約37Whだと初めて知った」と語った。
一部の航空会社は公式サイトで「Wh計算方法」を案内している。計算式は「Wh=電圧(V)×電流(Ah)(1Ah=1000mAh)」。例えば、一般的なモバイルバッテリーの公称電圧は3.7Vとされるため、1万mAh(10Ah)の場合、37Whとなる
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