「出勤時間の地下鉄に乗るたびに、恐怖を感じます」。ソウル・堂山(タンサン)駅から新論峴(シンノンヒョン)駅まで毎朝、9号線に乗って出勤するイさん(31)は、梨泰院(イテウォン)雑踏事故以降、地下鉄を乗るたびに不安を感じる。
イさんは「狭い路地にぎゅうぎゅうに人が立っていた現場の状況を見ると、通勤時の地下鉄のような恐怖を感じる。朝の9号線は戦場のようなもので、いつ事故が起きてもおかしくないところ」という。
梨泰院事故を機に、多重利用施設の過密化に対する懸念が出ている。
通勤の際、別名「地獄鉄」と呼ばれる、人が密集した地下鉄車両は改善する必要があるという声も高まっている。毎朝、足の踏み場もない地下鉄に乗るのに慣れた文化が、梨泰院事故を招いたという批判も出ている。
ソウル交通公社の「都市鉄道輸送実績」によると、ソウル地下鉄9路線のうち、昨年、通勤時間帯の最大混雑率が100%を超えた路線は1、6号線を除いた7つだった。最大混雑率を記録した区間は、9号線の鷺梁津(ノリャンジン)・銅雀(トンチャク)間で、午前7~8時の混雑率がなんと185%に達した。
混雑率は電車1台当たりの定員である160人を基準(100%)に計算したもので、実際の乗車人数をパーセントで表したものだ。混雑率100%は座席にすべての人が座っており、車両の通路と出入り口などに約27人が立っている状態をいう。最も高い混雑率を示した9号線鷺梁津―銅雀間は約300人もの乗客がいたわけだ。
ソウル研究院の「ソウル市地下鉄混雑費用算定と政策活用」報告書では「混雑率が175%の場合、出入り口周辺が非常に混雑し互いに体が密着して腕を上げることができず、125%になっても前の視野が塞がれる」と分析した。
ソウル市立大消防防災学科のイ・ヨンジュ教授は「いつも密集した状況を経験していると、それが一般化された状況だと考える。満員の地下鉄よりさらに危険なのは、人々が殺到して階段を降りたり乗り換えをするときに連鎖的に倒れることだ」と説明した。
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