韓国・国家安保戦略研究院のイ・サングン責任研究委員は、このほど発刊した「北朝鮮の中ロ主導多国間機構参加の可能性と波及影響」報告書で、北朝鮮が数年以内に、中国やロシアが主導する多国間機構に加入する可能性があると指摘した。イ・サングン氏は「韓国政府がこれを阻止するための努力を傾注する必要性がある」と強調している。
北朝鮮とロシアは6月に結んだ「包括的かつ戦略的なパートナーシップに関する条約」の第7条に「共同利益や安全問題に対して協力し、一方が該当する国際および地域機構に加入することを協力し、支持する」と明示している。
イ・サングン氏は北朝鮮の多国間機構への加入について、北朝鮮が「加盟国」ではなくオブザーバーや対話パートナーとして参加する場合でも▽核保有の正当性を宣伝する場の確保▽反米・反韓の攻勢強化▽対北朝鮮制裁体制の弱体化――など、韓国にとって否定的な効果が予想されるとみている。
中ロは最近、多国間の「BRICS」「上海協力機構(SCO)」の拡大を推進しており、制裁などによって国際社会での自由度が低い北朝鮮が、外交・経済活動の拡大のために中ロ主導の多国間機構への加入を推進する可能性も十分にあると分析している。
BRICSはG7(日米英仏独伊加7カ国)に属さない世界的または地域的強国の経済・安全保障協議体。SCOはテロリズム、分離主義、過激主義への対応を目指し、ユーラシアの安全保障を強化しながら経済協力を追求する機構だ。
イ・サングン氏は「国連制裁を受けているイランがBRICSやSCOに、欧州連合(EU)の制裁対象であるベラルーシがSCOに、それぞれ加盟している。北朝鮮の加盟も不可能ではない」とみる。
一方、ロシアの影響力が強い多者機構である集団安全保障条約機構(CSTO)やユーラシア経済連合(EAEU)は、加盟は容易だが、北朝鮮がその必要性を強く感じないだろうと評価している。
韓国統一省当局者も「今後、ロシアが主導する秩序に北朝鮮が積極的に協力しようとする意思があるようだ」との見解を示している。
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