コラム
MONEYTODAY キム・ジュドン国際部長
記事を書くと、コメント欄にさまざまな反応(不満)が書き残される。
内容が気に入らなければ、「私がこれを知らなくてはならないの?」という言葉が書き込まれる。
文章がやや長ければ、「なるほど、○○についての話を長々と書いたんだな」という評価が記される。
そもそも、ニュースを避けたり、最初から見ないようにしている人が増えているようだ。
この傾向がはっきり記された報告書がある。
英リサーチ会社「ユーガブ(YouGov)」が今年1月11日~2月21日、46カ国の計9万3432人を対象にオンラインで実施した調査だ。韓国から2026人が参加した。英オックスフォード大付設ロイタージャーナリズム研究所が今月15日、今年の「デジタルニュースレポート」(Digital News Report)として公開した。
これによると、「先週のニュースをどのメディアで見たか?」という質問に「ニュースを見ていない」が15%もいた。この割合は2013年(3%)から急増した。2016年から調査に参加した韓国では、同じ反応が同年(2%)から今年は6%に急増した。
「ニュースに関心がない」(「全く関心がない」を含む)という反応は、この5年間で韓国では6%から13%に、世界的にも5%から12%と大幅に増えた。程度の差はあるが、意識的に一部のニュースを避けるという人も増えている。
◇「信頼できないか偏向的」
なぜだろうか? 一言で説明できないが、キーワードはある。
韓国では「ニュースが信頼できないか偏向的」(42%、複数選択)という回答が最も多かった。
世界的には「政治、新型コロナウイルスのようなテーマをあまりにも多く扱う」(43%)が最も多い。これに「ニュースが私の気分に否定的な影響を及ぼす」(36%)▽「ニュース量が多すぎる」(29%)▽「信頼度に欠ける」(29%)――などが続く。
「疲労感」「信頼度」が回答の共通点だ。
メディアの記事は概して、社会の暗い部分を多く伝え、対立を扱ったり刺激的な記事も増えたりしている。
また、ここ数年間、世界的な対立というようなニュースが多い。新型コロナウイルス感染のパンデミックで病気についての憂鬱なニュースも増え、疲労感を与えたという側面もある。
後日、一部で実施された追加調査では、ロシアによるウクライナ侵攻が「ニュースに接するのを避ける傾向」をさらに強めたという。
◇自らニュースを選別
かつて、多くの人たちは、新聞やテレビによって編集された枠組みの中で、1日のニュースに接してきた。だが今は、インターネット上で、自らニュースを選別して見る。そのため「ニュースに接するのを避ける」というような現象が拡大する可能性がある。
ロイタージャーナリズム研究所は「ニュースは自分の人生とあまり関連がない」と感じる人が増えた可能性がある、とも指摘する。
特に若年層のニュース離れが目立つ。この層は、これまで「ニュースの内容が理解しにくい」という反応が相対的に多く、メディアの枠の中にとらわれないという姿も見られる。
英国人女性(19)は「記事がしばしば反復的で否定的」、ブラジル人男性(18)は「テレビでは毎回同じものを見せられる。YouTubeやTikTokなら多様なコンテンツがある」と、それぞれ意見を述べている。
12カ国を対象にした別の調査によると、18~24歳では、いまはソーシャルメディアでニュースに接するという回答が39%にも上る。
ニュースを全く見なかったり選別して見たりするのは、個人の満足度を高める方法なのかもしれない。だが、社会として考えるべき問題を共有する人の数が減れば、別の問題が起きるおそれもある。
伝統的なメディアには宿題ができた。
それはつまり、従来の枠組みにとらわれず、さまざまな形態でのニュース発信を試みる必要がある。
これまでのように、あふれかえるまで記事を出すということではない。スポットライトが当てられてこなかった「明るいニュース」というものを、受け手が渇望している、という点もはっきりしている。
ニュースに対する信頼度が世界的に下落する一方で、その数値が高い国では「ニュースを回避する比率」が低かったという点も示唆的だ。信頼度の世界平均は42%で、フィンランドは69%で1位、韓国は30%で40位、米国は26%で最下位だった。
これを「なぜこのニュースを見なければならないのか」を証明するための土台としたい。
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