韓国・済州航空旅客機事故をきっかけに、故人が生前使用していたSNSやメールアカウントに登録されていた友人情報を遺族に提供してほしいとの要望が高まっている。しかし、これに対し、企業や政府は慎重な姿勢を見せている。
遺族代表団は、故人の知人に弔問所の情報を伝えるため、こうした情報を遺族に提供するよう政府に要請した。これを受け、科学技術情報通信省が企業と協議し、支援策を検討している。
ただ、故人のアカウント情報やパスワードが第三者に共有される場合、故人やその知人のプライバシーが侵害されるリスクがあるとの懸念が業界内で広がっている。特に、故人に関連する第三者の個人情報まで影響を受ける可能性が指摘されている。
こうした課題に対応するため、韓国の大手IT企業カカオは2023年に「追悼プロファイル」機能を導入している。
この機能は、直系の遺族の要請に基づいて提供され、故人の友人に弔意を示すための設定を可能にするものだ。追悼プロファイルが設定されると、故人のカカオトーク内の全てのグループチャットから、自動的に退出処理が進められるが、個人情報や会話内容は提供されない。また、遺族が故人のアカウント情報を知っている場合に限り、アカウントの削除を支援する措置も提供している。
ネイバーも、遺族の要請に応じて家族証明書や同意書などの確認手続き後、アカウント削除やデジタル資産の引き継ぎサービスを提供している。ただ、同社は法的・技術的な制約や副作用の懸念があるため、情報提供には消極的だという。
海外では、GoogleやMetaが、ユーザーが事前に指定した人物が故人のアカウントを管理できる「デジタル遺産」ポリシーを導入している。
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