現場ルポ
ソウル市鍾路区(チョンノグ)の東大門(トンデムン)から洛山(ナクサン)城郭を眺めると、城郭を挟んで東に昌信洞(チャンシンドン)、西に忠信洞(チュンシンドン)が一望できる。
昌信洞は故パク・ウォンスン(朴元淳)前市長時代に推進された都市再生事業を代表する場所だ。ソウル都市再生1号に選ばれ、多くの予算が投入されたが、「壁画を描くのが再生なのか」という非難を受けて、失敗した都市再生の象徴的な町になった。
オ・セフン(呉世勲)氏が市長に就任後、状況が変わった。
昌信洞は、オ市長が導入した民間再開発支援制度である迅速統合企画(迅統企画)候補地に選定された……。
隣町の忠臣洞(チュンシンドン)も動き出した。
忠臣1区域でも地域住民らが再開発を再び推進している。「今回は違う」という雰囲気が感じられる。
「私が建てた家だが、もう古すぎる。開発が必要だ」
忠臣洞に半世紀以上も住むチャンさん(79)はこう訴える。「56歳の息子が生まれる前からこの町に住んでいる。不便なことは、一つや二つではない」
忠臣洞忠臣1区域は、鍾路ではあまりみられないような老朽化した住宅が連なる。間にある道は、ひと1人がようやく通ることができるような階段が多い。道路はあるものの、バイク1台がようやく通れるほど窮屈だ。
高い場所に、むやみに建てられた住宅が多く、浄化槽が設置されていない。夏になると、家から流れ出た汚物によって、路地一面に不快な匂いがたちこめる。
老朽化した住宅は修理も受けられないまま長期間、耐えている。あるじがいなくなった空き家は、今にも崩れそうに残っている。
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