韓国京畿道水原市で今年8月21日、多世帯住宅に住む60代女性と娘2人(ともに40代)の遺体が発見された。「世の中を生きるのがとてもつらい」などと記された遺書があり、自殺と判断された。女性はがんを、娘2人は難病をそれぞれ抱え、夫と息子も数年前に亡くしており、極度の生活苦にあった。医療費負担が重く、家賃も払えない状態で、外出することもほとんどなく、一家を支援する親戚や隣人もいなかった。
その後の調査で、一家は生活保護などの福祉サービスを申請・相談していなかったことが判明した。2020年2月に一家が水原に移り住んだ際、転入届が提出されておらず、管轄自治体も一家の生活苦を確認できていなかった。“福祉死角地帯”で生じた悲劇として、政府の対策が問われている事態になっている。
韓国では2014年2月、ソウル市松坡区の地下に住んでいた60代女性と娘2人が生活苦の末に自ら命を絶った「松坡3母娘事件」が起きた。韓国政府は事件後、“福祉死角地帯”を解消するため、福祉投資を2倍に増やすなど再発防止に乗り出していた。
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