「ソーマ(soma)」は、ズーム(zoom)やグーグルミート(Google Meet)など、在宅のための協業ツールとは異なり、最初からオフライン勤務と同じ勤務環境を提供することを目標にして開発されたという。
社員には、個人的な時間や空間活用という自律性を提供しながら、オフラインの事務室勤務とほぼ同じ業務効率を達成でき、会社と社員が共に満足しながら利用するというのが特徴だ。
ソーマの中に形成された「ジクバン」という会社の現実はどんなものなのか。
一例として、ある社員は昨年、経験者として採用され、入社して6カ月間、一度もオフライン空間でジクバンの社員に会ったことがなかった。「面接もソーマで受けました」と言う。彼にとって仕事場はソーマの中にだけ存在するのだ。
ソーマに接続すると同時に出勤し、親しい職員と業務中に少しおしゃべりする時も社内ラウンジテーブルを利用する。退勤と同時に接続を終了するため、空間が完全に分離している。
◇サービス、改善に次ぐ改善
約400人に達する全社員が集まるタウンホールミーティングもソーマの中で解決する。42コンベンションセンターには、500人ずつ収容可能なホールが6つ設けられている。発表者がプレゼンテーションをすれば、聴衆は拍手を送り、途中でスピーカーをつけて質問や発言をすることもできる。
ソーマに入居した企業は、今やジクバンだけではない。アワーホームやキョウォングループなど約20社がソーマの中に同様の空間を作った。そこに定期的に社員が出勤するという会社もある一方、単発の行事やプロジェクトの期間中だけ利用するという会社もある。
HR(人的資源管理)テックソリューションとして、企業の需要がある――ジクバンはこう判断し、長期的な収益化を目標にソーマを開発した。
ジクバン自身が利用しながらサービスを絶えず改善している。その結果、ジクバンの社員1人当たりのソーマ利用時間は現在、1日平均で7時間。ユーチューブアプリの利用時間よりもはるかに長い。
◇ユニコーンの成功支えたい
プロップテックとしては韓国の第1世代企業のジクバン。会社自らが、IT技術の中に融合した不動産を実現したと言える。
ソーマという企業名は、ツイッターやAirbnbなど世界的スタートアップが誕生した米国サンフランシスコ南側地域(South of Market・SoMa)から取ったものだ。ソーマのサービスは、アンドロイドとiOS、PCバージョンで利用でき、英語とスペイン語、中国語、ベトナム語など12の言語に対応している。
ジクバンのアン・ソンウ代表は「今後は一人一人の生活様式に最適化された勤務環境を提示する企業が、優秀なグローバル人材を得ることになるだろう」とみている。「ソーマを通じて、韓国のユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)の世界的成功を支えていきたい」と意気込む。
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